研究実績の概要 |
ガリウムは水溶液から電解析出が可能である.しかし,電気化学的な研究はほとんどない.一方,ガリウムを電極とすれば30℃を境に固体から液体にかわる.そこで,100℃以下の水溶液,各種溶媒を用い,ガリウムの電気化学的挙動を調査した. 20℃においてガリウムイオンの電析挙動を調べた結果,酸性浴では酸化ガリウムになり,アルカリ性浴では金属ガリウムが析出した.Cu基板では析出したガリウムは基板と金属間化合物を形成した. Ga電極について,電位―pH 図上で検討した.固体Ga 電極,液体Ga 電極共に自然電位の値は殆ど同じであった.pH 3 からpH 10 の領域では,自然電位の値がGaの電位より0.2 V から0.4 V 程度貴電位を示し,H2 発生電位に近い値を示した.pH 0,pH 1 の酸性領域とpH11 からpH14 の塩基性領域ではGaの電位に近い値を示した.この領域ではGaとGaイオンあるいは酸化ガリウムイオンとの酸化還元電位を示しているものといえる.中性領域では自然電位がGaの電位より貴な電位を示したためGa が酸化皮膜を作ることによって不働態を形成しているもの考えられる. Ethylene glycol, Diethylene glycole, Diethylene glycole dimethyl ether, Triethylene glycol dimethyl ether, Dimethyl sulfoxideなど有機溶媒中への塩化ガリウムの溶解性を調査し,ある程度の溶解することが確認された.分極曲線等の測定を行った.アルミニウムの電析が確認されているジメチルスルホン浴中などでもガリウム電極の挙動を検討する予定である.
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