硝酸アンモニウム,硝酸ガリウムを添加した蒸留水を溶媒として用い,常温でシリコン基板上に定電流電解を行った.析出物のEDX組成分析から,15%前後のガリウム及び10%を超える窒素が確認された.XRDからは六方晶および立方晶GaNがわずかに観察された.シリコン上ではガリウムのカソード析出及び硝酸イオンの還元反応が主に起こっている.この時,ガリウム源の硝酸ガリウム添加量の変化が電着物の組成に影響を与えると考えられる. 電着物のフォトルミネッセンス測定を用い発光現象をみたところ,青色の発光現象及びスペクトルのピークがみられた.立方晶GaNのバンドギャップの波長に近い378 nmの位置でピークがみられたものの,500-550 nm近傍でもブロード化したピークがみられた.これは不純物によるイエロールミネッセンス発光だと考えられる.ガリウム添加量が増加すると発光はみられなくなった. アンモニウムイオン源,硝酸イオン源,ガリウムイオン源を単独あるいは複数含む水溶液中でサイクリックボルタメトリー(CV)測定を行ったところ,アンモニウムイオン及び硝酸イオンのいずれかが欠けるとカソード反応で生じる亜硝酸イオンとアンモニウムイオン間で生じる窒素の均等化反応による原子状窒素の生成が起こらないためGaNは電析しないことが分かった. 一方,溶媒を水から常温のジメチルスルホキシドに変え,CV測定と定電流電解を行った.カソード電流には増加がみられたが,カソード域で定電位電解したところガリウムおよびガリウム酸化物の析出は生じたが,析出膜中には窒素はほとんど含まれていなかったことより,窒化ガリウムの生成は起きなかったと推察される.
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