研究課題/領域番号 |
16K14451
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
齊藤 敬高 九州大学, 工学研究院, 准教授 (80432855)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 粘性挙動 / 電気容量 |
研究実績の概要 |
当該年度は「流動・気相分散挙動同時評価装置」を建造した.装置中央部に位置する電気炉内にサンプル融体を満たした鉄製ルツボ中に不活性ガスを吹き込むことによって安定的にフォーミングスラグを形成させた.その後,回転式デジタルレオメーターに接続したPt-20Rh製ロッドを融体に浸漬・回転させることによって粘性抵抗によるトルクが発生し,このトルクを粘度に変換した.また,本装置では電気容量を測定するための電極対の一方がルツボ壁,もう一方が融体に浸漬したロッドである.したがって,双方を交流回路のインピーダンスおよび位相差からキャパシタンス(電気容量)を測定するLCRメーターに接続する必要がある.ルツボは鉄製であるため比較的容易に接続可能であるが,ロッドは高温下(~1600℃)で回転(~120rpm)しており,直接導線を接続することが不可能である.そこで,ロッド中心上部から測定電流を検出するスリップリング(銀ブラシ)を介して,LCRメーターに接続することによって融体の電気容量を測定した.なお,本装置の高温部は装置の上下端を水冷キャップで覆うことにより,炉内雰囲気ガスにおける酸素分圧等の厳密なコントロールが可能となっており,揮発しやすいフッ化物やRedox平衡を示す遷移金属酸化物を含む融体においても,高精度に流動および気相の分散挙動を評価することが可能であろうと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該年度は予定していた「流動・気相分散挙動同時評価装置」を試作し,既に次年度に予定している高温スラグ系の測定を開始しているため.
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今後の研究の推進方策 |
当該年度は前年度に建造した「流動・気相分散挙動同時評価装置」の室温および高温における検定を経て,実際の高温酸化物融体の測定を行う.粘度測定装置として,室温において粘度既知の標準物質(シリコーンオイル)を用いた実験条件(ルツボ回転数,ロッド浸漬深さ等)の決定を行う.その後,高温において英国物理研究所(NPL)の制定する高温用粘度標準物質であるSRM2スラグの測定を行い装置の検定を行う.また,電気容量測定装置の検定としては,まず常温において誘電率が既にわかっている液体の電気容量を系統的に測定し,LCRメーターにより検出される電気容量との差異を評価する.この時,計算値は右図に示すモデルによって電気容量(Ctotal)を算出する.その後,誘電率既知の気体を上記の液体に分散させ誘電率,気相率,および気泡径(可能であれば)を変化させたフォームを作製し,電気容量と含有する気体量に関する検量線を制定する.これによって,高温実験において電気容量の変化から,酸化物融体中の気相の割合(気相率)を高温in-situに同定することができる.上記の検定が完了した時点で,高温下における酸化物融体の流動および気相の分散挙動を同時に評価する.測定対象とする系はCaO-SiO2-FeO系などパイロメタラジーにおけるアプリケーションを意識したものから開始する.
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