研究課題/領域番号 |
16K14455
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
迫田 章義 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30170658)
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研究分担者 |
小倉 賢 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50298155)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | PCM内包吸着剤 / 吸脱着熱 / 固液相変化 |
研究実績の概要 |
メソ孔に担持されたPCMの固液相変化挙動を解明するため、アルカン系、有機酸系、アルコール系のPCMについて、融点、融解熱を調べた。バルク状態と比較して、メソ孔に担持された状態では、PCMの融点および融解熱は基本的に著しく低下した。その低下の度合いは、①メソ孔径、②メソ孔の細孔壁とPCMの相互作用力に大きく依存することを明らかにした。これらの結果から、PCMをメソ孔内で十分に機能させるためには、メソ孔径を10nm以上に保つこと、PCMとしてアルカン系のPCMを使用することが望ましいことがわかった。 これらの知見に基づき、10nm以上のメソ孔を有するカーボンナノチューブを吸着剤基材として用いて、PCM内包吸着剤を試作した。この吸着剤は、カーボンナノチューブの外壁に高密度のカルボキシル基を有しており、この部分が吸着機能を担う。一方で内部のメソ孔には、アルカン系PCMであるオクタデカンが充填されており、吸着によって発生した吸着熱の迅速な吸収が可能である。気相導入という新たな充填方法を用いることにより、官能基の有する吸着能を保持したまま、PCMの高充填率での充填が可能であり、PCM内包吸着剤の製作に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メソ孔材料に充填するための最適なPCMのスクリーニングが完了した。また、2種類の構想があるうちの、一種類についてPCM内包吸着剤の試作が完了した。ここまでは、計画通りである。あとはこの吸着剤により、吸着熱が迅速に吸収され、従来の吸着剤よりも有効に機能するかを実験的に証明する必要があり、現在、装置の試作、測定装置の確保に動いている。本吸着剤がうまく機能した場合、様々なプロセス(pressure swing adsorption、ガス充填貯蔵など)への応用が期待される。どのようなシチュエーションにおいて、より本吸着剤が機能するのかについて明らかにする必要があるが、それに必要な数値シミュレーションの作成に着手した。
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今後の研究の推進方策 |
PCM内包吸着剤の試作がうまくいったので、吸着熱測定装置を用いて、吸着熱を直接的に測定し、吸着熱のやりとりが吸着材内部で完結していることを実験的に証明し、本吸着材の有効性を明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初はカルボキシル基と化学吸着に近い作用をし、大きな吸着熱がでるアンモニアを吸着質として用いて実験を行う予定であったが、そこまで本年度は進行しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
上記実験を進める予定である。
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