本研究では,ソフト界面への金属集積を可能にする界面設計および界面制御技術の開発を目的としており,金属錯体を連結部としたブロック共重合体の合成と界面集積を実現し,液液界面への配向を利用して微粒子や繊維などの成形加工面への集積挙動について検討してきた。親水性高分子と疎水性高分子の末端に金属リガンドを有する新規ブロック共重合体の合成を行い,それらを液液界面へ配向させたまま,溶媒拡散によって迅速に固化させることで,得られる固体材料の表面に金属錯体部位を呈示することができた。 ただ,このような界面配向分子の導入による界面への金属集積は,金属錯体として界面付近への集積は可能になるものの,金属としての特性を発現するほどの集積量をもたらすことは難しく,金属集積ソフト界面の機能化を考えると,金属集積量の増大をもたらす技術構築が必要であった。そこで,これまでの研究を推進していくうえで新たにソフト界面上への金属ナノ粒子の集積とその触媒機能を利用した無電解めっき反応によって上記技術を凌駕するソフト界面への金属層の創出にも取り組んできた。 ここでは,パラジウムのナノ粒子をピッカリングエマルションのように液液界面へ配向させ,パラジウムナノ粒子の触媒機能によって高効率なソフト界面上への金属めっき形成を促進させた。その結果,金属光沢を有する金属薄膜をソフト界面上に創出することが可能になり,金属薄膜で覆われたカプセルの調製や金属性の導電性を実現することが可能となった。また,通常の油水界面のみならず,イオン液体界面では特異な濡れ性を発現し制御することも可能なことから,金属集積にも有効な新たなソフト界面の創出も期待できる。
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