近年,食生活の欧米化により尿路結石症患者は年々増加している。尿路結石は体内に生じるシュウ酸カルシウム結晶によって引き起こされる疾患である。そこで,水のみを透過させる膜を用いて原尿模擬水を濃縮し,腎臓の機能を簡易的に再現することで,シュウ酸カルシウム結晶析出挙動の解明を計画した。また,結晶が析出しない条件を検討するために,尿中の成分であるクエン酸とマグネシウムを用いて実験を行った。その結果、膜面上にシュウ酸カルシウム結晶を核化・成長させることができた。さらに添加剤を変化させることで,不安定な水和物が析出することが分かった。これらの成果により,尿路結石の発生抑制と再発防止に新たな知見が得られた。
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