研究課題/領域番号 |
16K14465
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
向井 紳 北海道大学, 工学研究院, 教授 (70243045)
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研究分担者 |
荻野 勲 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (60625581)
岩村 振一郎 北海道大学, 工学研究院, 助教 (10706873)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 化学工学 / 反応・分離工学 / 環境技術 / 環境材料 / セラミックス |
研究実績の概要 |
前年度までの検討で,Mg/Al系層状複水酸化物から得られたナノシート凝集体を焼成する際の条件を工夫することで,得られる複合酸化物のCO2吸着量を最大8倍増加できることがわかっている。最終年度である本年度は,(1)CO2吸着量増加の要因を解明し,さらに高い能力を有する材料を創出するための指針を示す,(2)(1)を踏まえ将来の研究の礎となる検討を開始する,そして(3)前年度までに行った検討結果ならびに(1)の結果をまとめ学術論文として報告することを行った。 (1)について:ナノシート凝集体を空気雰囲気下もしくは不活性雰囲気下で熱処理する際の挙動を種々の手法を用いて分析した所,酸素非存在下で熱処理するとシート間に存在するアニオンを比較的低温で除去可能であることが分かった。これにより,通常,熱処理時に起こる複水酸化物ナノシートの不可逆的な凝集を抑制しながら,複水酸化物を複合酸化物に変換できるため,高い表面積とCO2吸着量を有する複合酸化物が得られるのだ結論づけた。そして,この結果について学術論文に発表を行った。また,今年,国際学会での発表を2件予定している。(2)について:(1)の結果から,アニオン種と熱処理条件を工夫することで,さらに高表面積,高CO2吸着容量を有する材料を合成できることが示唆された。そこで,実際にアニオン種を種々変えて作製した試料に異なる熱処理を施した所,予想通りさらに高いCO2吸着容量を有する材料が得られることが分かった。Mg/Al系複合酸化物は,中温度から高温度領域でCO2吸着剤として有効に働くことが知られているが,さらなるCO2吸着容量の向上が求まれている。本研究を実施することで,ナノシートを経由した手法によりこの課題克服への指針が得られた。ここで得られた結果は,今後の研究のさらなる進展に貢献することが期待できる。
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