研究課題/領域番号 |
16K14466
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ナノ粒子 / 超臨界流体 |
研究実績の概要 |
本年度の研究は、本研究の最終的目標であるはんだナノ粒子合成に必要な流通式連続合成装置の新規製作に向けて、水熱法によるはんだナノ粒子合成に最適と考える、温度400 ℃、圧力30 MPa(予熱水ラインおよび原料溶液ラインの混合部)の条件下にて、置換水での安定的な運転を目指した。 まず、予熱水および原料溶液用の送液ポンプ、リリーフ弁、予熱炉、反応炉、冷却循環装置、背圧弁、および配管、継手類からなる流通式連続合成装置の組み上げを行った。各装置の選定に当たり、電熱計算による適切な装置選定を行った。その後、送液ポンプ、背圧弁のみを操作した昇圧試験を行い、正常に昇圧することを確認した。また、これらに加え予熱炉、反応炉、冷却循環装置を運転し、400 ℃、30 MPaまでの昇温、昇圧を達成し、この状態を安定的に維持できることも確認した。 また、はんだ粒子の基幹となるSnの合成場における挙動の予測を目的とし、流通式連続合成における合成例が報告されているCuナノ粒子合成の出発物質とSnの出発物質の熱分解挙動を比較した。出発物質を凍結乾燥し、TGにより熱分解測定した結果、Cuの出発物質に関して、物質種による熱安定性の大きさと既報の合成における回収率とには相関関係があると判明した。Snの出発物質については、Cuよりも熱安定性が高いと考えられるため、高回収率が見込めるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画当初は、はんだナノ粒子の生成条件の確立を優先させる予定であった。しかし、回分式反応管を用いた合成において、反応時間の点から流通式連続合成装置と同様の合成条件を作り出すことが難しいと判断した。また、研究目的である実用化を見越した結果、効率的に実験を進めるべく流通式連続合成装置を使用した実験を重視し、新規製作を優先して行う運びとなった。当初と異なる計画で進行したものの、今年度までに流通式連続合成装置の製作を完了したため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、目的組成であるSn-3Ag-0.5Cu組成を持つはんだナノ粒子の生成条件の確立を目的とし、溶媒、出発物質、温度、圧力等の操作因子を変量し、生成物質の解析を行う。また、流通式連続合成装置を使用し、はんだナノ粒子の操作因子を検討し、最適な合成条件の下で連続合成を行う予定である。また、表面修飾剤の設計を行うと共に、変量した検討を行いながら、分散溶媒との相互作用の検討も行う。また、酸化抑制効果の長期保存試験や実装時の銅基板に対するヌレ性およびチップ実装試験といった実用適性検討を行う計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、今年度の装置の製作を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度請求額と合わせ、平成29年度の研究遂行に使用する予定である。
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