製作した大気圧プラズマリアクターは,二重管構造になっており,内管外周部に撚線電極をらせん状に設置しており,内管内部にハニカム触媒を設置した。コージェライトハニカム(1200 psi)を使用し,セル数が5×5,長さ2 cmとなる直方体型に切り出し,角のセルを落として内径6mmの内管にセットできるようにした。触媒は,オゾンの分解に対して活性が高いMn-Y型ゼオライトをディップコーティング法でハニカムの壁面に固定した。 ハニカム触媒を併用することで,プラズマ部で生成したオゾンがトルエンの酸化分解を促進し,2000ppm程度であったオゾン濃度がほぼ完全に分解することができた。このオゾンの分解に伴い,90%程度であったトルエンの分解率が99%以上に向上し,炭素基準のCO2収率も17%から64%になった。また,同じエネルギー密度(Ed)を与えた場合CO・CO2濃度はMn-Y固定化量に依らないこと, Ed = 149 J/L,流量Q = 126.6 mL/minの条件においては2.5 h以上触媒が失活せず高い分解率・COx収率を維持することに成功した。また,流量が大きくなると同じEd条件下で分解率・COx収率が低下した。耐久性を検討するため,種々のEdでトルエンの分解を行ったところ,Edが低い領域では,トルエンの分解率が徐々に低下した。これは,十分なエネルギーがインプットされないとトルエンが十分分解されず,分解生成物等が触媒表面を覆うことによって失活するものと考えられた。エネルギー効率の観点からは,あまり過剰のエネルギーをインプットすべきではないので,触媒を効率よく再生する必要がある。触媒の再生方法として,空気中,500℃での熱処理を試みたところ,トルエンの分解率およびCO2収率が劣化前とほぼ同じになり,熱再生処理が有効であるとわかった。
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