研究課題/領域番号 |
16K14474
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高垣 敦 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (30456157)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 窒化ホウ素 / 固体塩基触媒 / 酸塩基 / ニトロアルドール反応 / クネーベナゲル縮合 |
研究実績の概要 |
本研究では、申請者がごく最近見出した窒化ホウ素の新しい固体酸塩基触媒作用に着目し、その作用機構の解明、ナノ構造化等による触媒の高機能化を通して、バイオマス変換を含む種々の酸塩基触媒反応へ展開し、持続型社会の実現に貢献することを目的としている。 窒化ホウ素は高い耐熱性、耐酸化性を有することから様々な用途において注目されている二次元材料であるが、触媒としての利用はほとんどされてこなかった。 窒化ホウ素に遊星ボールミル処理を行うと層状構造が部分的に破壊され、表面積が大幅に増大することがわかった。赤外分光測定から水酸基とアミノ基が同時に形成されることが確認され、X線光電子分光測定ではB-OHに帰属されるホウ素の割合がボールミル処理の進行に従って増大していくことが観測された。固体酸性および固体塩基性についてプローブ分子を用いた固体NMRにより測定したところ、HYゼオライトと同程度の酸性、KYゼオライトと同程度の塩基性を有していることがわかった。つまり塩基性、酸性はともに弱~中程度であった。ボールミル粉砕した窒化ホウ素はニトロアルドール反応およびクネーベナゲル縮合反応において高い触媒活性を示した。一方、未処理の窒化ホウ素では全く活性がなかった。置換基効果(Hammett則)からニトロアルドール反応の反応機構を推定した。電子供与基を含むベンズアルデヒドを用いた際に反応速度が向上した。酸塩基が同時に形成していることが高い触媒活性に寄与していると示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通りに進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
酸塩基二元機能により促進される他の触媒反応系を開拓する。窒化ホウ素の合成方法を検討し、活性点がより多く露出した構造となるよう触媒を調製する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
備品や物品の購入が不要だったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究結果を国際学会等にて積極的に発表する。
|