研究課題/領域番号 |
16K14477
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 寿雄 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (80273267)
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研究分担者 |
吉田 朋子 大阪市立大学, 複合先端研究機構, 教授 (90283415)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光触媒反応 / 二酸化炭素 / アミン |
研究実績の概要 |
環境・資源問題の観点から,二酸化炭素を炭素資源として利用し,他の有用な有機化合物に変換する技術の開発が望まれている.ただし,そのために新たに二酸化炭素を排出するようなことを避けることが必要であるので,本研究では,太陽エネルギーと光触媒技術を利用することとした.最近,アミン化合物と二酸化炭素を反応させるとホルムアルデヒド化合物を生成する光触媒反応を見出したので,本光触媒系を改良し高効率化を目指すとともに,本系の反応機構の解明を開始した. 始めに,アセトニトリルを溶媒として,ジフェニルアミン(DPA)と二酸化炭素を反応させてジフェニルホルムアルデヒド(DPF)を得る光触媒反応の条件の最適化を行った.その結果,少量の水を添加した場合や,反応時間を短くした場合にDPF生成の選択率が向上することを見出した.次に,様々な溶媒について実験し,溶媒効果を確認したところ,意外にも,DPFが得られたのは,アセトニトリルを用いた場合のみに限られることが判明した. 有効な光触媒を探索したところ,パラジウムを添加した酸化チタン光触媒が比較的高活性を与え,さらにはアルミナ担持パラジウム触媒を共存させるとDPFの選択性と銃率が向上することも見出された. ところが,同位体化合物を用いて反応機構を検討したところ,比較的に安定である溶媒であるはずのアセトニトリルが反応に関与していることが分かった.一方で,二酸化炭素が存在しないとこの反応は進行しないことは確かめられている.しかしまだ反応機構の全容は明らかにはなっておらず,引き続き検討が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験はおおむね順調に進展しているが,予期しなかったこととして,本光触媒反応はアセトニトリル溶媒を用いないと進行せず,かつ,反応機構にアセトニトリルが関与していることが明らかとなった.さらに慎重に検討するべき状況にある.
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今後の研究の推進方策 |
溶媒であるはずのアセトニトリルが反応に関与しているという想定していなかった反応機構であることが示唆されたので,反応機構についてさらに慎重な検討を続けるとともに,視野を広く持ち新たな反応系の探索を含めて取り組む予定である.
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