研究課題/領域番号 |
16K14478
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森 浩亮 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (90423087)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 選択的水素化 / プラズモン触媒 / 合金ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
本申請課題では、目的実現のため、、①光触媒の設計・開発 → ②光触媒性能評価 → ③触媒の構造・物性解析 → ④反応メカニズムの解明という一連の研究を行う。本年度は主に①のAg-LSPRの特異な光吸収特性を利用し2元系合金ナノ粒子触媒設計に取り組み、②の触媒反応実験に応用した。以下詳細を示す。 ①光触媒の設計・開発:本研究課題を実現するためには、第一に光照射下でのAg-LSPR効果を隣接した触媒活性金属種に伝播させることのできる二元系合金ナノ粒子触媒を合成する必要がある。本研究では、Ag-LSPRの特異な光吸収特性を利用し、光照射下でAgナノ粒子を活性化させ、相互作用したPd前駆体を還元固定化する光析出法により本目的を達成させる。そこで、金属前駆体の選択、光析出プロセスにおける光量・波長・雰囲気・溶媒の最適化等を検討し各種触媒を調製せいた。一方で表面プラズモン共鳴の影響は、金属の種類(Au, Ag)、粒子径、形状(球状、ロッド状)集合状態により大きく異なる。そこでAgナノロッドなど、可視光照射下で強いAg-LSPR効果を発現しする形状制御したナノ粒子の調製も試みた。 ②触媒性能評価:項目①で調製した触媒の性能を、室温・可視光照射下での選択的水素化反応にて評価した。ここでの課題は、それぞれの触媒が高効率かつ高選択的にプロダクトを生成する反応条件の探索である。溶媒、触媒量、基質濃度といった基本的なパラメーターを変えるだけでなく、得られた結果を触媒の設計・開発にフィードバックし、それぞれの触媒が各反応に最適な性能を発揮できる触媒と反応条件の組み合わせを探索した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請課題では、目的実現のため、①光触媒の設計・開発 →②光触媒性能評価 → ③触媒の構造・物性解析 → ④反応メカニズムの解明という一連の研究を行う。①ではAg-LSPRの特異な光吸収特性を利用し2元系合金ナノ粒子触媒設計に取り組み、②の触媒反応実験結果と合わせて、③でミクロ・マクロ的な観点から構造・物性に関する知見を得る。さらに④では、実験的および計算科学的検討によりアプローチし、更なる高活性触媒の設計指針へとフィードバックする。平成28年度では主に①-②を行い、概ね計画通りの成果が得られている
|
今後の研究の推進方策 |
29年度では③-④を行う計画である。 ③触媒の構造・物性解析:XRD、SEM、TEMにより触媒のバルク構造を解析する。また、XPS、IR、XANES/EXAFS等を用いて行い、触媒活性種近傍の微細構造と触媒機能の関連を明確にする。これらの分析機器は、既設もしくは借用が可能である。また、高エネルギー加速器研究機構(KEK-PF)の研究課題が採択されており、XANES/EXAFS測定も可能である。さらに高輝度光科学研究センター(SPring-8)での研究課題も随時申請予定である。種々の分光学的手法を駆使した触媒活性種近傍の微細構造に関する知見と触媒機能の関連性を解明することで、更なる高性能光触媒の設計指針にフィードバックする。これまで申請者は、放射光XAFSなどの分光学的手法を駆使して、優れた触媒機能とナノレベルの構造との相関を明らかにしてきており、実績は十分にある。
④応メカニズムの解明:触媒キャラクタリゼーションと併せて、in-situでのXANES/EXAFS測定に重点を置き反応メカニズム、電子移動による向上効果の要因を明らかにする。様々な反応ステージでの活性点近傍構造の同定によって、反応基質の吸着・配位により生成する中間体の微細構造をも高精度で決定する。さらに理論計算の支援により、金属錯体構造、金属ナノ粒子の粒子径変化など、触媒活性種や反応に影響を及ぼすと考えられる様々な局所的効果の定量的データを取得する。これら結果と、触媒活性、構造との相関を見出し、『選択的水素化反応を促進する光触媒』という新しい概念を創出する。この指針を提案することが本研究のブレークスルーの一つである。以下に役割分担を示す。
|