研究実績の概要 |
本年度はまず光源である深紫外LEDの発光スペクトルを真空紫外分光器(測定領域100nm-200nm)及びCCD型分光器(測定領域:200nm-1100nm)により測定した.次にこのスペクトル強度分布及び推進剤である二種類の炭素粒子(中心粒径5um, 50um)の粒子径分布(仕様値)を考慮することで平均帯電量を理論的に推定した.その結果,帯電量はそれぞれ4.5×10-17C,4.5×10-16Cとなり,23V,2.3kVの電圧を印加すれば重力と釣り合うことがわかった.以上の結果を用いて帯電量測定装置を開発した.実験系は上下に印加電極を用いて下部電極をグラウンドとした.炭素粒子は下部電極と導通しないようにテフロンの板上に散布した.粒子の観察は別途可視光源及び高速カメラを用いて可視化することで行った.高速カメラは露光時間100um,フレームレート4.7kfpsであり,空間分解能は5umの粒子が撮影できるように光学レンズを用いて0.83um/pixcelに設定して実験を行った.本年度は高圧電源の故障により,中心粒径5umの炭素粒子に対し最大50Vの電圧を印加して実験を行った.その結果,粒子は浮上しなかったものの23Vを超えると粒子群の形状が変化し,陽極方向に対し鋭い突起が生じることがわかった.粒子径が小さい場合,付着力が無視できずその大きさを概算したところ830V程度の印加電場に相当することがわかった.ただし,付着力の要因であるファンデルワールス力や静電気力は帯電の影響を大きく受けると推察されるため,今後高圧電源を用いてこの要因の影響を評価する必要がある.
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