研究課題/領域番号 |
16K14505
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
葛山 浩 山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (80435809)
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研究分担者 |
酒井 武治 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90323047)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アーク気流 / エンタルピー計測 / 電磁力衝撃層拡大 / 惑星突入気流 |
研究実績の概要 |
JAXAアーク気流で電磁力を用いたエンタルピー決定実験を実施するため、本年度は、数値計算による衝撃層拡大予測とJAXAアーク気流での磁石搭載型供試体の予備加熱試験を行った。 1.衝撃層拡大と衝撃層内の熱化学非平衡状態の数値計算による予想 JAXAアーク気流が1%電離していると仮定し、0.5Tの磁場を印加した場合の衝撃層変化を数値計算により調べた。電磁力により衝撃層は大きく拡大し,衝撃層内に温度平衡領域が現れた。ただし、化学平衡状態には至らず、おそらく化学平衡を衝撃層内に作るのは難しいことが示唆された。しかし、工程は増えるが、輻射スペクトル解析法を工夫すれば、熱平衡だけでもエンタルピーを決定できるため、大きな問題とはならない。また、JAXAのアーク気流は1%も電離していないことも考えらえるため、電離種としてカリウムを1%添加した計算を行ったところ、前述の計算と同じ大きな衝撃層拡大が得られ、熱平衡領域が出現することがわかった。
2.磁石搭載型供試体の予備加熱試験 本研究の供試体は、アーク気流の加熱に耐えるだけでなく、搭載された磁石が熱消磁を起こさないように、供試体内部への熱流入をシャットアウトする必要がある。これを可能にする材料を調べるため、一次元熱伝導解析を用いて、加熱量と加熱時間をパラメータにとり、様々なセラミックスの耐熱性を調べた。その結果、改良型チタン酸アルミ(レコジット)および窒化ケイ素が、有望な候補であることがわかった。そこで、これらの材質で供試体を製作し、磁石の熱消磁の有無を確認する予備試験をJAXAアーク気流で行った(加熱は最大加熱の1/3である2MW/m2の条件)。結果として、どちらの材質でも磁石の熱消磁は起こらなかった。また、最大加熱の条件下で試験しても供試体が再利用出来ることを目指すと、窒化ケイ素を用いて、試験模型内部を水冷する方式が最も有望であることもわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数値計算による予測・磁石搭載型供試体の設計・予備加熱試験を実施済みであり、良好な結果を得ている。従って、次年度の本試験(発光分光によるエンタルピー決定)の準備が滞りなくできていると言え、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
発光分光系の構築・輻射解析の準備を次年度前半で行い、山口大学の小型アーク風洞において、開発済みの磁石搭載型試験模型を用いた予備試験を行う。後半では、JAXAアーク風洞にて本試験を行い、エンタルピー決定実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究に要する主たる費用は、分光器およびその発光分光光学系の購入費である。しかし、これらの機器の購入前に、JAXAでの予備試験を行った方が、機器選定に有利であると判断した。JAXAでの試験日は11月であり、その結果の検討に要する時間も必要であったため、これらの購入を次年度初頭に見送ることにした。
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次年度使用額の使用計画 |
現在、分光器および発光分光系の選定を行っており、7月までには機器の納入(総額250万円程度)を終え、実験を開始できる予定である。
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