研究課題
1.浮体周りの水面に弾性膜を浮かべ,その形状や剛性を最適化することで水波の伝播方向を変え,浮体のクローキングを達成させる手法について検討したが,浮体の周りを進行波が迂回するように伝播方向を変化させることは難しいことが解った。そこで弾性膜の形状は円環状とし,剛性や弾性膜の内径・外径を調整することで外方へ伝播する散乱波を極力少なくし,結果的に浮体に働く波漂流力を小さくすることを考えた。数値計算は独自開発の高次境界要素法とモード関数展開法を用い,浮体のみに働く波漂流力は直接圧力積分法を用いた。波漂流力を完全にゼロとするまでには至らなかったが,各モード関数の寄与を詳しく調べ,円環形状弾性膜の内側に散乱波を閉じ込めるメカニズムについて流体力学的な考察を行い,国際会議論文を執筆した。2.浅水波近似の下では,空間形状の変形を与える座標変換を使うと,支配方程式や境界条件が元の式のままになる水深テンソルを求めることができる。そのような水深を実現するために均質化法を用いて特殊な‘メタマテリアル’を作ってクローキングを達成させることができるが,その手法は円柱だけでなく,断面が四角形状の柱状体に対しても有効であることを有限要素法に基づく市販ソフトCOMSOLを使った数値計算によって確かめた。3.流体が微小空間において異方的な性質を持ち且つ空間的に不均一に広がっていることを実現させるために,波の長さより小さい十字水路を用いることを提案し,それを用いると波が通常とは逆方向に屈折する「負の屈折率」を実現できることを見出した。COMSOLによる数値計算によって,小さな角柱群の領域が負の屈折率を持つ波動場となり、入射する波は通常とは逆方向の角度をもって屈折することが確認できた。さらにこの媒質中ではエネルギー(群速度)の進む方向に対して、位相速度が逆向きとなる「バックワード波」が生じることも確認した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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