研究課題/領域番号 |
16K14518
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
赤松 友成 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 中央水産研究所, 主任研究員 (00344333)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 水中音響 / 校正 / 騒音影響 / 資源探査 / 船舶騒音 / エアガン |
研究実績の概要 |
手軽な低周波音校正手法を確立し、最終年度として研究を取りまとめるとともに、開発技術を資源探査や生物資源モニタリングに応用できることを実証した。 低周波音校正のまとめとして、米国製、ニュージーランド製、日本製の異なる自動録音装置を対象に、比較校正を行った。校正水域として選定した本栖湖で感度校正を行い、静穏なプラットフォームから各機材を吊り下げて送受信実験を行い、それぞれの特性が明らかになった。米国製機材は感度が悪く、大音圧の生物ソナー音の記録に特化していた。ニュージーランド製の機材は中程度の感度で、堅牢なつくりのため運用も容易であった。日本製の機材はもっとも感度が高く魚類の鳴音録音に適していたが、圧縮形式の録音であり受信周波数帯域の上限がほかの機材に比べ劣っていた。音響機材の実際の性能はこれまで専門の機関でしか得られなかったが、本研究で感度校正を簡便に行えるようになったため、今後の海中騒音計測に役立つ成果が得られた。 本研究成果を実際の海洋騒音問題に役立てるため、主要な海洋騒音源である資源探査用発音装置の音圧計測を行った。海底資源探査では巨大な低周波音源により海底下の資源分布を調べている。しかし高圧空気を開放するため大音量の不要な高周波成分が発せられ、海洋生物への影響が懸念されている。高周波成分を抑えた狭帯域低周波音源は今後の活用が見込まれるため、その校正実験をアイスランドで実施した。防水型の小型録音機を基準受信機として用いたため、野外のあらゆる場所で暴露音圧計測を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した静穏水域の特定、および簡便な感度校正手法は確立された。異なる生産国の感度比較を行い、開発手法の実効性を確かめた。感度校正結果の応用として、低周波音源による暴露音圧レベルの計測に挑戦したが、音源側の問題で再計測となったため、2019年度に延長してこれを実施することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
低周波音の校正手法が出来上がったため、これを現在問題となっている海洋騒音の計測に応用する。校正済みの小型録音機を活用した二次校正で、低周波音源の現場海域における音圧レベルや動物への暴露レベルが計測する。今年度、音源に生じた機械的なトラブルを共同研究者側が修理し、研究期間を延長し次年度も暴露レベル計測実験を行って、計測精度向上に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
低周波音の校正手法が出来上がったため、2018年度にこれを現在問題となっている海洋騒音の計測に応用した。しかし音源に生じた機械的なトラブルのため、研究期間を延長する必要が生じた。計測精度を向上し騒音計測の応用を図るため、次年度も暴露レベル計測実験を行う。
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