本研究では、ビール酵母細胞壁による水-油間の界面張力の低下を利用した石油増進回収法の確立を目的とし、実験ならびにシミュレーションを実施した。 酵母細胞壁濃度が高く、そのオートクレーブ処理温度が高く、その処理時間が長いほど、界面張力が低下した。酵母細胞壁からの界面活性物質の溶出量が変化し、界面張力に影響を及ぼしたと考えられる。また、石油増進回収評価実験により酵母細胞壁水溶液の模擬油層への圧入により4~7%の増進回収が得られ、高い油増進回収効果が示された。これらの実験を再現するシミュレーションモデルを構築し、これを用いてフィールドスケールの検討を通じて本増進回収法の最適な実施条件を明らかにした。
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