研究課題/領域番号 |
16K14525
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井 通暁 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00324799)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 磁場閉じ込め核融合プラズマ / 球状トカマク / マイクロ波反射計 / 磁場分布推定 |
研究実績の概要 |
トカマクなどの磁場閉じ込め核融合プラズマにおいて、内部磁場ベクトル空間分布の計測が可能な「リアルタイム偏波制御型マイクロ波反射計測手法」の装置開発及び原理実証を行うにあたり、(1) 球状トカマク実験装置UTSTに実装するマイクロ波コンポーネントの製作および特性試験、(2) 球状トカマク三次元モデルを用いたマイクロ波伝搬解析コードの開発、(3) 得られた内部磁場情報を活用した磁気面推定法の確立、の3つの内容について研究を推進した。 本研究で提案する偏波制御型反射計の主要部分である偏波制御ブロックについて、仕様の策定、コンポーネントの製作および特性評価を実施した。偏波を2系統の2GHz信号の振幅比でコントロールすることにより、当初予定していた10マイクロ秒以内での制御を実現することに成功した。ただし、振幅制御に伴って位相の変化が観測されたため、これを抑制するための方策についての検討を行った。 解析コードについては、実験で用いるUTST装置および生成される球状トカマクプラズマの平衡解を作成し、二次元モデルによるコード妥当性の検証および三次元モデルによる実機に準じた解析を進めた。 得られた内部磁場情報を適用する磁気面推定手法として、コーシー条件面法を改良したものを用いることとし、UTSTデータへの適用を行った。装置壁に流れる渦連流を考慮した改良法を採用することにより、初期プラズマ立ち上げ直後から位置/プラズマ電流が良好に推定できることを確認した。また、プラズマ内部に設置するコーシー条件面を適切に選ぶことによって、磁気軸が複数存在する場合にも適用可能であることを示し、UTSTにおける球状トカマク生成~維持にわたる広範な時間帯で活用できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題では、実験機器の開発、解析コードの開発、応用先である磁気面再構成手法への実装手段および性能の検討という3つの内容を並行して実施することを予定しており、それぞれにおいてほぼ予定通り/以上の進捗が得られた。実験機器の開発については制御要素を追加する必要があることが分かったが、比較的簡易に実装できる見通しであるため、全体としておおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、提案する新方式反射計をUTST装置に実装し、磁場ベクトル計測を実現することを中心とした研究推進を実施する。位相制御コンポーネントを追加してシステムを完成させ、単一周波数での原理実証・特性評価を行った上で、必要に応じて精度向上のための改良を施す。測定精度については、構築した三次元解析コードを用い、装置壁面等での反射や入射アンテナからの直接伝搬の寄与を含めた各偏波の強度を求め、実験結果との比較を行う。最終的には、複数周波数を用いた磁場ベクトル空間分布計測を実現し、磁気面再構成手法との連携を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度経費に若干の残額が発生しましたが、効率的な運用のため次年度にまとめて使用することとしました。
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次年度使用額の使用計画 |
使用計画には変更ありません。
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