研究課題
超高温ガス炉の原子炉設計を行う際に想定事象の一つである一次冷却系主配管破断時の空気浸入事象においては,多成分気体の分子拡散と局所的な自然対流及び原子炉内を一巡する混合気体の自然循環流など,密度の異なる気体の複雑な混合現象が生じる.今後の安全設計に関して,これらの現象が重畳する場合の空気浸入過程を明らかにしておくことは,設計上の安全裕度を確定する上でも重要である.日本原子力研究開発機構(JAEA)が設計する第四世代原子力システムの一つである超高温ガス炉,Gas Turbine High Temperature Reactor 300 (GTHTR300) Seriesでは,水平の二重管構造となっている一次冷却系主配管が破断すると対向置換流によって炉内に空気が浸入し,黒鉛製炉心構造物が酸化する可能性がある.そこで本研究では,水平二重管破断時のGTHTR300の炉内流路を模擬した実験装置を用いて,空気浸入過程を調べた.実験装置は外側円筒容器,内側円筒容器,水平二重管で構成され,外側円筒容器は水冷ジャケットにて冷却し,内側円筒容器内はカートリッジヒータで加熱した.実験方法は,まず容器内をヘリウムガスで置換し,ヒータ温度が定常に達したことを確認する.この状態で,水平二重管の内外のバルブを同時に開放して空気を容器内に浸入させることで,配管破断事象を模擬した.水平二重管の外管側を通る気体流速の変化では,水平二重管のバルブ開放後,対向置換流によって空気が容器内に浸入するが,流速は約0.04 m/sまで上昇する.その後,流速は0.02 m/s程度まで低下し,その後,流速は再び増加した.これは容器内の下部に空気,上部にヘリウムガスという安定密度成層が形成され,空気浸入が抑制されたものと考えられる.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
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http://www.me.yamanashi.ac.jp/lab/takeda/