研究課題/領域番号 |
16K14541
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉橋 幸子 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (20403157)
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研究分担者 |
堀池 寛 福井工業大学, 工学部, 教授 (20252611)
砂川 武義 福井工業大学, 工学部, 教授 (60329456)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 液体金属 / 電磁ポンプ / 永久磁石 / 磁束密度 / 進行波 / 推力 |
研究実績の概要 |
液体金属などの伝導性流体は、国際核融合材料照射施設や高速炉において利用されている。高温の液体金属の駆動には、軸受けが無く、密閉性と安全性に優れる電磁ポンプが使われることが多い。しかし交流進行波型電磁ポンプは三相多極の電磁石から構成される大型かつ複雑な構造であり、またコイルを冷却するためのブロアーや電磁石電源を備え、大型で効率が悪い。このため小型で簡便な新しいポンプの開発が期待されている。そこで本研究では、永久磁石を用いた小型電磁ポンプを開発する。 平成29年度では、平成28年度に作成した回転する永久磁石列を2つ組み合わせたポンプシステムを用いて磁場分布と駆動力の測定を行った。 2つのローター間の磁場分布は、数値解析と実験値の比較を行った。解析ソフトはJAEAのELEOBITを用いた。実験結果と比較するため、磁石配置等を計測条件と一致させた。計測はガウスメータを用いた。両者を比較した結果、ローター中心位置で磁荷モデルを用いた本解析ソフト特有の誤差があったが、磁場分布はほぼ一致した。また、ローターを1台もちいるよりも二極対向して用いる方が1.3倍強い結果となった。 本電磁ポンプの仕組みは、ローターの回転により磁場が変化することで電場が誘導され、起電力が生じる。起電力により2つのローターの間の金属中の電子が移動し、電流が流れる。このため、金属中にローレンツ力が働き金属が移動する。実験では、銅板、アルミ板、SUS板を用意し、それぞれの金属に働く推力を測定した。その結果、推力は材質の電気伝導度の違いにより変化し、SUS-アルミー銅の順で強くなることが確認できた。さらに板厚が増すと推力も強くなることが確認できた。 本研究において、装置の作成と金属板による推力測定から本電磁ポンプの原理が実証できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
円筒に永久磁石を取り付け、小型モータで駆動させる簡易な電磁ポンプを製作した。磁場解析コードによる磁場分布計算とガウスメータによる磁場計測を比較し、その結果、両者は良い一致を示した。 本電磁ポンプは、ローターの回転により磁場が変化することで電場を誘導し、起電力が生じる。起電力により金属が移動現象を確認した。用意した材料は、銅板、アルミ板、SUS板を用意し、それぞれの金属板に働く推力を測定した。その結果、推力は材質の電気伝導度の違いにより変化し、SUS-アルミー銅の順で強くなることが確認できた。さらに板厚が増すと推力も強くなることが確認できた。 これらの結果により本電磁ポンプの原理実証が出来た。
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今後の研究の推進方策 |
作製した小型ポンプで金属板に推力が働くことを実験的に検証することができた。次に液体金属流動について検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
29年度までで液体金属実験を終了させる予定であったが、代表者の異動により実験着手が遅れたため、液体金属流動実験まで実施することができなかった。固体金属による推力実験により原理実証は完了したため、1年延長に液体実験まで行う予定である。
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