研究課題/領域番号 |
16K14542
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
桑原 彬 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 バックエンド技術部, 技術・技能職 (50732418)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 同位体分析 / レーザー分光 / プラズマ風洞 / 超音速プラズマ |
研究実績の概要 |
1)本年度は、試料をプラズマ化(原子化)し、かつ、断熱膨張で冷却するための小型アーク加熱プラズマ風洞(2kW級)を開発し、その性能評価を行った。性能評価においては、半導体レーザー吸収分光法を適用し、断熱膨張後の超音速プラズマの流速・温度の測定結果から、プラズマ化温度を明らかにした。 2)次に、本手法の妥当性を検討するため、プラズマ化が容易な希ガス(キセノンガス)に対して、本手法を適用し、キセノンの吸収スペクトル(823nm)を検出することで、同位体比を測定した。また、検出下限の濃度を明らかにした。本検討で用いたキセノンについては、励起準位を対象としていたため、今後適用していくストロンチウム、ウランにおいては、同装置で3桁高い検出下限が期待できる。 3)変調法を用いた高感度手法の予備検討を実施した。グロー放電管(アルゴン)において、導入試験を行い、次年度の適用が可能となった。 4)同時並行で、次年度への予備検討として、液体試料への適用性を明らかにした。本検討においては、誘導結合プラズマ(ICP)対して、ICP-AES用のネブライザーを用いて液体試料を供給した場合においても、プラズマが消滅しないプラズマ生成条件、試料供給条件を明らかにした。また、レーザー吸収分光により、高圧プラズマ中において、吸収スペクトルを取得し、圧力による吸収スペクトルの広がり(圧力広がり)を明らかにした。 なお、関連する研究成果により、平成28年度北関東支部原子力学会若手研究者発表会にて、優秀発表賞を受賞した(2016/4/15)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、アーク加熱プラズマ風洞の開発及びその性能評価が完了し、キセノンガスを用いた本手法の妥当性の検証まで行うことができた。また、同時並行で、液体試料の原子化に関する予備検討を誘導結合プラズマ(ICP)を用いて進めており、レーザー分光時の課題を抽出することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、装置開発及び妥当性検証について、成果をまとめるとともに、実際に液体または固体状の試料に適用していく。固体については、ストロンチウム粉末を検討しており、ストロンチウムの吸収ライン(689nm)の検出を目標とする。また、必要に応じ、光共振器を用いた高感度法(集積共振器出力分光法:ICOS)または変調法(周波数変調法:FMS)を併用しながら、感度・精度の観点から本手法の実現性を明らかにする。
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