研究課題/領域番号 |
16K14545
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
神原 信志 岐阜大学, 大学院工学研究科, 教授 (80362177)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アンモニア / 水素製造 / 大気圧プラズマ / 水素分離膜 / 燃料電池 |
研究実績の概要 |
大気圧プラズマと水素分離膜を組み合わせたプラズマメンブレンリアクター(PMR)を開発し,NH3からPEFC用高純度水素を高効率に連続的に製造する実験を行なった。PMRの石英管と高電圧電極間の隙間(ギャップ長d)は1.5 mmまたは4.5 mmに変化させた.水素分離膜はPd-40%Cu合金であり,膜厚20ミクロンである.原料ガスは,水素分離性能の確認実験では100%H2またはAr希釈のH2(H2/Ar)を用い,NH3分解水素製造実験では100%NH3を用いた. 水素分離性能試験では,膜出口圧力(PG2)を0から-90 kPaの範囲で変化させ,一方, プラズマ圧力(PG1)を0から60 kPaに変化させて水素透過率の変化を調べた.PG2を減圧するほど,またPG1が大気圧に近いほど,水素分離性能は向上した.一般的な水素分離性能と比較して,プラズマメンブレンリアクタ-は優れた水素分離性能を示し,プラズマの有効性が明らかとなった. NH3分解水素製造実験では,消費電力の増加,すなわちプラズマの印加電圧の増加にともない水素転換率(NH3分解率)は増加した.水素分離膜のないPRは,400 Wで水素転換率13.0 %であったが, PMR(d = 4.5)では24.4 %に増加した.これは生成したH2がNH3にもどる逆反応を抑制していることを示している.d = 1.5と4.5を比較すると,4.5 mmの方が水素転換率は高かった.100%NH3の流量は0.5 L/minで固定であるため,d = 4.5の反応器の方が100%NH3ガスのプラズマ内滞留時間が長く,それがNH3の分解率の向上につながり,水素転換率が増加したと考えられる. これらの結果をもとに,新たな構造のPMRを設計・製作した.今後,高効率の水素製造装置の開発が期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通りの実験データを得て,プラズマメンブレンリアクタ-の改造にまで着手できたことから,順調に進展していると評価する.新規のプラズマメンブレンリアクタ-は,スケールアップが容易な構造であることから,これが期待通りの性能を示せば,学術的かつ実用的な観点で大きな成果を得ることができる.
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今後の研究の推進方策 |
新型プラズマメンブレンリアクタ-を用いて,水素製造実験を行ない,高効率化が達成できるかを検証する。その後,1kWh程度の燃料電池発電に必要な水素量を製造できるスケールアップを行ない,実用化への指針を得る。
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