研究課題/領域番号 |
16K14546
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
黒川 康良 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (00588527)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ナノ材料 / 電子デバイス・機器 / 電子・電気材料 / 表面・界面物性 / 半導体物性 |
研究実績の概要 |
本年度はSiナノワイヤ(SiNW)上に酸化アルミニウム薄膜を堆積し、SiNWキャパシタ構造の作製を試みた。SiNWは、銀の無電解めっきとMetal assisted chemical etching (MACE)法を用いて作製した。原子層堆積法を用いて、200サイクル、200℃の製膜条件で酸化アルミニウムをSiNW上に製膜した。原料としてトリメチルアルミニウムとH2Oを用いた。製膜後、フォーミングガス雰囲気中で400℃、30分間の熱処理を施した。次に、真空蒸着法を用いて、Al電極をSiNW面に作製した。裏面電極としてInGaを塗布した後、容量-電圧(C-V)特性の測定を行った。 断面SEM像から、エッチング時間5分で長さ3.0μmのSiNWが形成していることがわかった。容量-電圧(C-V)特性を測定したところ、f=1 kHz、V=-6 VでSiNW MOSキャパシタの静電容量は0.995 μF/cm2を得ることができた。この値はフラット基板上のものの約3倍であった。これは、SiNW構造を用いることで、表面積が増加し、蓄積する電荷量が増加したことを示す結果である。一方、SiNWを用いたサンプルは周波数による分散が大きくなった。酸化アルミニウム界面の構造欠陥がフラットなものと比べて多いことが予想され、界面構造の改善が今後の課題である。 さらなる静電容量向上のため、比誘電率の高い酸化チタンを利用し、酸化アルミニウム/酸化チタン積層構造をSiフラット基板上に作製することを試みた。酸化チタンの原料にはTDMATとH2Oを用いた。Siフラット基板に作製したMOSキャパシタの静電容量は、酸化アルミニウムだけのものと比べておよそ2倍ほどに増加していた。これは、酸化チタン薄膜層を挿入することで比誘電率が増加したことによると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はSiNWアレイに原子層堆積法により酸化アルミニウムを堆積し、それをキャパシタ構造とし、キャパシタ動作を確認することが目的であった。結果として、キャパシタ動作を確認することに成功し、フラット基板上のものの約3倍の静電容量を獲得することに成功した。また、さらなる静電容量の材料として酸化チタンを導入し、フラット基板上に作製したMOSキャパシタ構造にてさらなる静電容量の向上を期待できる結果を得た。よって本研究は概ね順調に推移していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまで得られた知見を元に、酸化アルミニウムと酸化チタンの積層構造をSiNWアレイ上に堆積し、SiNWキャパシタ構造を作製する。作製されたキャパシタの静電容量評価・リーク電流評価を行い、現状の構造の問題点を探る。特にアニール処理による酸化チタンの結晶化がリークパス形成に寄与するため、リーク電流と結晶構造の関係を明らかにする。また、現状では金属電極が絶縁膜全体を被覆できておらず、それが静電容量の増加を妨げているため、金属ナノ粒子分散液などを利用して、金属電極の被覆率を向上させることを試みる。
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