研究課題
神経細胞の個々のシナプスへの興奮性入力による興奮性シナプス後電位(EPSP)と抑制性入力による抑制性シナプス後電位(IPSP)は時に可塑性を示しながら統合され、電気緊張電位として伝わり活動電位を発生させる。シナプスでの統合をより深く理解するためにはイオンの動きと膜電位の可視化が重要となる。IPSPは一過性に細胞内クロライド濃度上昇を起こすが、これまでIPSPによるクロライド上昇は可視化されていない。本研究は、IPSPの可視化を目指し、高感度で高い反応性を備えた赤色の新規蛍光クロライドプローブを開発し、抑制性のシナプス可塑性(iLTP)を可視化により解明することを目的としている。29年度は我々が作製した蛍光プローブの改良を行った。改良したプローブは大腸菌に発現させてタンパク質精製し、蛍光分光光度計および分光光度計を用いてクロライド応答性や光学特性を解析した。その結果、前年度までに作製したプローブよりもクロライド濃度変化での蛍光変化量がさらに大きいプローブを見出した。蛍光変化量が大きいプローブは神経細胞に発現させ、GABA受容体やグリシン受容体の刺激での蛍光応答の大きさを指標として細胞での性能を評価した。この有望なプローブは、これまで作製したプローブの変異部分を種々の組み合わせでシャッフルすることにより、またPCRを用いたrandom mutagenesisを行うことにより、さらなる改良を進めている。
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Biomed Opt Express
巻: 8 ページ: 4049-4060
10.1364/BOE.8.004049
eLife
巻: 6:e26839 ページ: 1-20
10.7554/eLife.26839
J Neurosci Methods
巻: 286 ページ: 56-68
10.1016/j.jneumeth.2017.05.017
PLoS One
巻: 12:e0179460 ページ: 1-19
10.1371/journal.pone.0179460
生体の科学
巻: 68(5) ページ: 442-443
10.11477/mf.2425200685
http://subsi.saitama-u.ac.jp/