研究課題/領域番号 |
16K14555
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡村 康司 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80201987)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | イオンチャネル / 光遺伝学 / カルシウムイオン |
研究実績の概要 |
電位依存性プロトンチャネルVSOPの最小機能ユニットを同定するため、HEK293T細胞において電流量を多く発現する棘皮動物アメリカムラサキウニのオルソログSpHv1について、N末端側およびC末端側を欠失させたコンストラクトを作成し、whole cell patch 電流記録による計測を行った。電流量は全長タンパク質の場合の10%程度と小さいものの、明確な電位依存性イオンチャネル活性を示した。また、膜貫通領域外の、S1-S2部分、S2-S3部分、S3-S4部分の、それぞれを欠失したコンストラクトを作成した。 最近単量体タンパク質としてイオンチャネル活性を示すことが判明したカタユウレイボヤ由来精子特異的CaチャネルCi-CatSper3の電位センサードメイン領域について、光制御分子ツールの材料としての可能性を検証するため、アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いて、基本特性の解析を行った。様々な陽イオンの条件で過分極時内向き電流を計測した。Cs+>Na+>K+>Li+の順で透過性が高いこと、二価イオン透過性はCa2+だけでなくSr2+およびBa2+にも透過性を示すこと、Ba2+はSr2+よりも透過性が低いことなどを明らかにした。これらの二価イオンへの透過性は、膜電位固定下での蛍光指示薬を用いた蛍光測定によっても確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、光遺伝学分子ツールを構築するため、電位依存性プロトンチャネルVSOPと新規Ca透過性電位センサーについて、イオンチャネル最小機能ユニットの同定を行ってきた。VSOPについては細胞質領域をほとんど含まないタンパク質の状態でイオン透過性を有することを見出し、これを踏まえてリンカー部分の欠失分子について今後解析を進めていく。新規Ca透過性電位センサーについては、イオン選択性など分子特性を詳しく調べることに成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
VSOPについては、細胞内側ループ、細胞外側ループを欠失させ、最小機能ユニットの特定を急ぐ。CatSper3については、変異導入実験を行うことで、チャネルゲーティングに関わる部位を推定し、今後の光感受性ドメインとのキメラ分子の設計を推進する。酵母での光照射のスクリーニング系については、光照射条件で培養できる機器を整備する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めていくうえで必要に応じて研究費を執行したが、当初の見込み額と執行額は異なった。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究計画に変更はなく、前年度の研究費を含めて、当初の予定通り計画を進めていく。
|