研究課題
ほ乳類の脳は無数のニューロンが作る複雑なネットワーク(神経回路)として機能する。その中から構成要素である単一のニューロンを選んでその性質を理解することは、ネットワークの構造と機能を理解する上で重要であり、本研究課題はそのための汎用性の高い方法論の構築を目的としている。本年度の研究において、これまでに開発に成功した単一細胞標識システムの汎用性をさらに高めるために様々な観点からの改良を行った。新生仔マウスの大脳皮質のニューロンを主要なターゲットとして研究を遂行した。細胞密度の高い大脳皮質のニューロンの詳細な形態を生体で解析するためには非常に明るい蛍光蛋白が必要であり、その目的のためにいくつかの蛍光タンパク質を比較検討した。また、複数の蛍光蛋白質と組合せて用いることができればさらに汎用性が高まることから、それぞれの組合せに最適の蛍光蛋白質を選ぶための検討を行った。また、形態の解析に加えて、細胞内分子の挙動の解析などを同時に行うことができれば、さらに有益である。そのためには外からの遺伝子導入、内在性遺伝子の改変などいくつかの方式が利用可能であるが、それぞれ一長一短あることから、それらを比較検討した。さらに、新生仔マウスの脳のネットワーク機能を理解するためには、個々のニューロンの活動パターンを解析し、その同調性を解析することが必要である。そのために、いくつかのカルシウムインディケーターの特徴の比較検討を行った。一連の研究により、使いやすく応用範囲の広い汎用性の高いシステムが構築されてきた。
2: おおむね順調に進展している
特に問題なく順調に進展している。
システムの汎用性をさらに高めるため、様々な条件の検討およびシステムの改良を行う。
2年間の研究の中で汎用性のあるシステムを構築してきたが、その過程で新たに改良のアイデアが生まれてきた。それらを解決し、本課題を完成させたい。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 6件)
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