研究課題
神経シナプスは神経活動に応じて情報伝達効率を変化させる可塑的性質を有し、高次脳機能発現を担う。シナプスは特殊化したシナプス前、後膜(PSD)からなり、これら膜ドメインの神経活動依存的な改変がシナプス可塑性の本態であると考えられている。しかし、PSDの改変とシナプス可塑性の因果関係は未だ十分に実証されていない。これまでに、私共はパルミトイル化脂質修飾関連酵素(パルミトイル化および脱パルミトイル化酵素)の細胞膜局所における動的活性変化が、PSD構築の基盤的機構の一つであることを見出してきた。本研究では、パルミトイル化酵素や脱パルミトイル化酵素の活性を光遺伝学的に人工操作する手法を開発し、PSD構築を時空間的に改変することを試みる。平成29年度は、PSD-95の脱パルミトイル化酵素として見出したABHD17(Alpha/beta hydrolase domain-containing protein 17)とパルミトイル化酵素ZDHHC2に対して光操作性分子プローブの作成および性状解析を行った。具体的にはLight-Oxygen-Voltage sensing (LOV2)ドメインを融合させたコンストラクトやCRY2とCIB1コンストラクトを複数作成し、光照射依存的に特定の細胞内領域にABHD17をリクルートすることに成功した。しかし、効率良く酵素活性を再構築するには至らなかった。そこで、新たにLOVTRAPシステムやZdk1-iLIDシステムを導入し、各種コンストラクトを作成し、その性状解析を進めた。そして、ABHD17の酵素活性を光操作するための手がかりを得た。
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