研究課題
大脳皮質を構成するニューロンは共通の投射標的をもつ6層のニューロンを領野ごとに修飾し、複雑かつ秩序だった3次元の神経回路をつくることで視覚・体性感覚・聴覚等の高次の知覚を発現する。この知覚神経回路の構築には内因性の遺伝子プログラムに加え末梢感覚器官からの神経入力が重要な役割を担うとが考えられているが、その寄与については不明な点が多く残されている。本研究では、知覚神経回路形成過程の入力依存性を明らかにするために、順行性シナプス移行型のウイルストレーサーの確立と特定の末梢感覚入力の細胞レベルでの可視化・制御を行うことで、入力特異的な神経活動の大脳皮質神経回路構築への作用を明らかにすることを目的としている。これまでVSVをコードする5つの構成遺伝子のうち、GタンパクとLタンパクの間にGFPおよびmCherry-Cre配列を挿入したウイルスを作製し、これらのウイルスを用いた新生児マウスへのレポーター遺伝子の発現について解析を行った。さらに視覚入力遮断と神経活動抑制を行ったマウスについて生後7日目と21日目の視覚野および体性感覚野におけるニューロンの配置と樹状突起パターンの定量的解析により、知覚神経回路形成における神経活動依存的なニューロンの分化と統合機構が新たに示された。これらの結果をふまえ、今後は時期特異的(tet-トランスアクチベーターシステム)、部位選択的(Cre/loxPシステム)、および刺激特異的(チャネルロドプシン)遺伝子発現の操作、細胞アブレーション(ジフテリア毒素)との組み合わせにより、神経回路形成の新たな解析手法への応用の可能性が見出された。
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Development, Growth & Differentiation
巻: 59 ページ: 258~269
10.1111/dgd.12367
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