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2016 年度 実施状況報告書

口腔内細菌に起因する出血性脳卒中の病態理解とモデル動物の作成

研究課題

研究課題/領域番号 16K14573
研究機関国立研究開発法人国立循環器病研究センター

研究代表者

猪原 匡史  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (00372590)

研究分担者 仲野 和彦  大阪大学, 歯学研究科, 教授 (00379083)
齊藤 聡  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (40732996)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード口腔内細菌 / 脳内微小出血 / 連鎖球菌 / ミュータンス菌
研究実績の概要

脳微小出血は分布により病理学的背景が異なる。我々は齲蝕原性細菌であるStreptococcus mutansのうちコラーゲン結合蛋白(Cnm)を発現するcnm遺伝子陽性Streptococcus mutans(cnm陽性S. mutans)の口腔内保有は、独立して脳微小出血と相関することを報告した。今回cnm陽性S. mutansと脳微小出血の分布との関連を検討した。前向きコホート研究に登録した202人のうち、脳血管障害の急性期に3 tesla MRIを撮像した165名を対象とした。T2*強調画像で評価した微小脳出血の分布により深部/脳表/混合の3群に分け、「無」群を含む4群間のcnm陽性S. mutans保有率の違いをANOVA解析で検討した。31名(18.8%)にcnm陽性S. mutansを検出した。cnm陽性S. mutansの保有率は深部群16名(44%)、脳表群0名(0%)、混合群9名(25%)、無群 6名(7.3%)と有意差がみられた(p<0.001)。cnm陽性S. mutansの保有は深部微小出血の存在と関連し、一方脳表限局性微小出血とは関連しないことが明らかとなった。これは、cnm陽性Streptococcus mutansは高血圧等によって引き起こされる細動脈硬化(I型脳小血管病)の病態には関与するものの、脳アミロイド血管症(II型脳小血管病)の病態には直接関与しないことを示唆している。脳卒中患者では口腔内環境が不良である傾向が報告されているが、本結果は脳卒中の治療法開発の標的として口腔内細菌が有望であることを示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

口腔内サンプルを採取した脳卒中患者が200人を超え、過去のデータを支持する結果を得た。さらに、cnm陽性Streptococcus mutansをチャレンジすることによって心内膜炎、微小出血を再現するモデル動物の作成に着手した。

今後の研究の推進方策

医科と歯科の連携を深めるために、大阪大学歯学研究科との共同研究体制を強化し、脳卒中患者の口腔内サンプルの迅速な解析を行う。また、口腔内にcnm陽性Streptococcus mutansを保有する確率には人種差があることも想定されている。ナイジェリアとケニアの研究協力者の協力を受け、本研究の遂行後には国際展開を検討していく。

次年度使用額が生じた理由

研究室内の研究員1名の妊娠、出産があり、研究計画の変更が余儀なくされた。

次年度使用額の使用計画

平成28年度に予定していたメタゲノム解析を平成29年度に延期した。その他の研究計画については予定通りである。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Oral Cnm-positive Streptococcus Mutans Expressing Collagen Binding Activity is a Risk Factor for Cerebral Microbleeds and Cognitive Impairment.2016

    • 著者名/発表者名
      Watanabe I, Kuriyama N, Miyatani F, Nomura R, Naka S, Nakano K, Ihara M, Iwai K, Matsui D, Ozaki E, Koyama T, Nishigaki M, Yamamoto T, Tamura A, Mizuno T, Akazawa K, Takada A, Takeda K, Yamada K, Nakagawa M, Tanaka T, Kanamura N, Friedland RP, Watanabe Y.
    • 雑誌名

      Sci Rep

      巻: 6 ページ: 38561

    • DOI

      10.1038/srep38561

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] う蝕原因菌と脳出血の関連-脳口連関-.2016

    • 著者名/発表者名
      殿村修一,仲野和彦,猪原匡史
    • 雑誌名

      日本歯科論評

      巻: 76 ページ: 14-15

  • [学会発表] Vascular Dementia2017

    • 著者名/発表者名
      Masafumi Ihara
    • 学会等名
      International Stroke Conference
    • 発表場所
      Houston, USA
    • 年月日
      2017-02-21 – 2017-02-24
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Dental microbes and stroke/dementia.2016

    • 著者名/発表者名
      Masafumi Ihara
    • 学会等名
      Brain Ageing and Dementia in LIMICS 2016
    • 発表場所
      Nairobi, Kenya
    • 年月日
      2016-12-06 – 2016-12-08
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 脳卒中の新たな危険因子-口腔内感染-.2016

    • 著者名/発表者名
      猪原匡史
    • 学会等名
      日本神経学会学術大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2016-05-18 – 2016-05-20
  • [備考] 国立循環器病研究センター病院脳神経内科

    • URL

      http://www.ncvc.go.jp/hospital/section/scd/cerebrovascular/b-group.html

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公開日: 2018-01-16  

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