研究課題
家族性筋萎縮側索硬化症 (ALS)は SOD1、TDP-43、FUS 等の遺伝子変異を伴い,運動神経が変性脱落する疾患である。ミトコンドリア障害が神経・筋変性の引き金となるが,家族性ALS の原因遺伝子変異がどのようにしてミトコンドリア障害を引き起こすのか不明である。28年度はSigma-1受容体(R)(E102Q)変異体がミトコンドリア障害を惹起するメカニズムを培養細胞系で明らかにした。Sigma-1R変異体はミトコンドリアATP産生を障害し,プロテオソーム活性を低下させることで神経細胞死を誘発した。29年度は脳組織からの抽出物したオルガネラを蔗糖密度勾配遠心法で分画して,脳内プロテオソーム活性測定系を確立した。脳組織におけるミトコンドリアコンプレックス活性を測定する実験系を確立した。さらに,ミトコンドリア障害に伴う酸化ストレスを脳組織で測定する系を確立した。現在,Sigma-1R 欠損マウスおよび Sigma-1R遺伝子改変マウスを作成中であり,脊髄運動神経および中枢神経でのミトコンドリア障害を解析する予定である。また、これまで培養細胞を用いて,Sigma-1R(E102Q)変異体ミトコンドリア障害はピルビン酸,アミノレブリン酸,Sigma-1Rアゴニストで修復できることを明らかにした。今後はALSのモデルであるSOD1 変異マウスとSigma-1R遺伝子改変マウスを掛け合わせることにより,若年発症で重篤な ALS モデル動物を作成する。重篤な ALS モデル動物において,ミトコンドリア障害の機序を解明し,ミトコンドリア治療薬(ピルビン酸、アミノレブリン酸、Sigma-1Rアゴニスト)の効果を動物モデルで検証する。
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