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2017 年度 実施状況報告書

メカニカルストレスの生理的機能の解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K14584
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

清水 健史  名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60398237)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードオリゴデンドロサイト
研究実績の概要

機械的刺激(メカニカルストレス)に応答して活性化されるシグナルにより、細胞の性質が制御されるメカニズムが注目されている。ニューロンに髄鞘(ミエリン)を形成するオリゴデンドロサイトは、前駆細胞からミエリン形成オリゴデンドロサイトになる発達過程で、膜面積が劇的に拡大する(約6500倍)ため、非常にダイナミックに形態が変化する。このダイナミックな形態変化過程では細胞膜の伸展や細胞骨格の変化に伴い、細胞内で大きな牽引力が発生していると考えられる。メカニカルストレスは、オリゴデンドロサイトの分化、成熟、およびミエリン形成過程で重要な作用を持つと考えられるが、未だ不明な点が多い。本研究ではまず、オリゴデンドロサイトに発現するメカノセンサーが、機械刺激を感受し、ミエリン形成を制御するシグナルの研究を行い、すでに学術雑誌へ掲載することができた。また、オリゴデンドロサイト内で発生する力の測定は極めて重要である。本研究課題では、オリゴデンドロサイト内で発生する力を可視化するために、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)システムを用いた牽引力センサープローブを使用する。この牽引力センサーを培養オリゴデンドロサイトに導入してFRETの強度を比較することにより、オリゴデンドロサイトの成熟過程、およびミエリン形成時に発生する力の負荷を検証する計画を進めてきた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

生体内のミエリン形成時にメカノセンサーが果たす役割を明らかにするために、既にメカノセンサーに対するノックインマウスを2系統(YAP-STOP-tetOマウス, p130Cas-STOP-tetOマウス)、自ら樹立した。オリゴデンドロサイト特異的にメカノセンサーを過剰発現、ノックアウトするために、すでに研究室で維持しているPLP-tTAマウス、PLP-tTSマウスと交配を行った。前回までに、YAP過剰発現マウスを解析した研究成果を学術雑誌に掲載することができた(Shimizu et al., GLIA 2017)。
今期は、p130Cas過剰発現マウスの解析を行い、その結果、オリゴデンドロサイトがメカニカルストレスをうけてp130Casが活性化すると、オリゴデンドロサイトの形態形成と成熟が抑制されることを明らかにし、学術雑誌に投稿した。
また、蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence resonance energy transfer:FRET)を使った牽引力センサーのベクターコンストラクトが報告されている。このセンサーは、牽引力に応じたFRETの強度変化から、負荷された力を検量できる。すでに当該tension sensorをオリゴデンドロサイト前駆細胞に遺伝子導入し、FRETを測定する準備が進んでいるので、おおむね順調に進展していると判断した

今後の研究の推進方策

蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を使った牽引力センサーのベクターコンストラクトが報告されている。ラット胎仔よりオリゴデンドロサイト前駆細胞を調製し、当該tension sensorベクターをオリゴデンドロサイト前駆細胞に遺伝子導入すると、突起先端部の接着斑にtension sensorが局在することを確認できている。まず初めに、当該オリゴデンドロサイトが神経軸索に突起を巻きつける培養系を確立し、その過程で発生する牽引力に着目してFRETの強度を比較する計画である。

次年度使用額が生じた理由

当該年度以前から研究室に在庫のあった消耗品を使用し、研究を行うことができたため、新規に消耗品を購入するための費用を抑えることができたため。
次年度は、一般試薬、消耗品の購入に使用する計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Oligodendrocyte-Neuron Interactions: Impact on Myelination and Brain Function2018

    • 著者名/発表者名
      Shimizu T, Osanai Y, Ikenaka K
    • 雑誌名

      Neurochemical Research

      巻: 43 ページ: 190-194

    • DOI

      10.1007/s11064-017-2387-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] YAP functions as a mechanotransducer in oligodendrocyte morphogenesis and maturation2017

    • 著者名/発表者名
      Shimizu T, Osanai Y, Tanaka KF, Abe M, Natsume R, Sakimura K, Ikenaka K
    • 雑誌名

      Glia

      巻: 65 ページ: 360-374

    • DOI

      10.1002

    • 査読あり
  • [学会発表] Mechanical control of oligodendrocyte morphogenesis and maturation by mechanosensors2018

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Shimizu, Yasuyuki Osanai, Kenji F Tanaka, Manabu Abe, Rie Natsume, Kenji Sakimura, Hideki Hida, Kazuhiro Ikenaka
    • 学会等名
      日本生理学会
  • [学会発表] Impacts of oligodendrocyte-neuron interactions on myelination2017

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Shimizu, Yasuyuki Osanai, Kazuhiro Ikenaka
    • 学会等名
      日本神経化学会

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公開日: 2018-12-17  

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