研究課題
1)正常のマウスβ細胞と肝細胞から誘導したインスリン産生細胞の遺伝子発現解析インスリン産生細胞への変換を促進する新たな因子を探索するため、マウスインスリンプロモーターにGFPが連結されたトランスジーンを有するトランスジェニックマウス(Mouse Insulin Promoter1-GFP: MIP-GFP Tg)を用いて、マイクロアレイにより遺伝子発現解析を行い、正常β細胞では発現しているが誘導インスリン産生細胞では発現していない遺伝子、もしくは正常β細胞では発現していないが、誘導インスリン産生細胞では発現している遺伝子を探索した。その結果、正常β細胞では発現しているが誘導インスリン産生細胞では発現していない、新たな候補遺伝子を2つ同定した。その候補遺伝子について、Pdx1、NeuroD、MafAとのインスリン産生における協調作用を確認したところ、1つの候補遺伝子では、10倍程度の産生増強が確認された。以上の結果から、同定した遺伝子は、インスリンの産生を増強する作用があることが確認された。2)転写因子Pdx1、NeuroD、MafAを誘導的に肝臓で恒常発現できるマウスを用いた同定因子の機能解析Creの誘導により、Pdx1、NeuroD、MafAを組織特異的に恒常的に発現させることができるトランスジェニックマウスを用い、インスリンを恒常的に発現させることができるかを解析できると考えた。そこで、マウスを作製し、発現を誘導して解析したところ、肝臓での恒常的な発現を誘導することができたが、その発現量は非常に低く、またインスリンの産生も確認できなかった。また、筋組織では高い恒常的な発現が確認されたが、インスリンの産生は確認されなかった。以上の結果から、肝臓以外の組織では、インスリンの産生誘導が難しいこと、肝臓で高い発現を示す新たなマウスの作製が必要と考えられた。
2: おおむね順調に進展している
マイクロアレイの解析から、新たな遺伝子を2つ同定することができた。その中の1つは、肝臓細胞からのインスリンの産生量を10倍程度増強できたので、スクリーニングは有効に機能したと考えられる。またインスリンの産生を10倍程度増強できたことは、大きな進歩と考えられる。
インスリン産生細胞がグルコース応答性を有しているかどうかは、臨床応用に向けた大きなポイントである。誘導されたインスリン産生細胞について、グルコース応答性があるかどうかを確認している。
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Exprimental Animals
巻: 65 ページ: 319-327
10.1538/expanim.16-0016
http://www.md.tsukuba.ac.jp/basic-med/anatomy/embryology/index.html
http://www.md.tsukuba.ac.jp/LabAnimalResCNT/