近年、オートファジーの様々な疾患を予防する生体防御機構としての機能が大きく注目されている。それゆえ、オートファジーの活性をin vivoでモニターする手法の開発が待望されている 。GFP-RFPのタンデムタグをオートファゴソームのマーカーであるLC3に付加したtfLC3システム(tandem-fluorescent-tagged LC3)はオートファゴソームの数だけでなく、その内容物の分解過程までをモニターできるため、しばしば見られるオートファジーの阻害によるオートファゴソームの蓄積による解釈の誤りを回避できる。本研究ではこれをin vivoに応用するために、Haloタグというリガンド結合性のタグをLC3に付加したタンパク質を利用する。前年度までに研究代表者はHalo-LC3コンストラクトの作成およびモニター系としての細胞レベルの評価、また既存のシステムとの比較検討を行った。また、Halo-GFP-LC3というタンデムタグの評価を行い、効率的なin vivoオートファジー測定系を構築するための後ろ盾となる知見が得られた。本年度はさらにin vivoへの応用を鑑み、複数の異なるリガンドのコンビネーションおよび至適濃度の設定によるコストの削減を試み、おおよそ1/10の負担でも効率的にオートファジーをモニターする方法を開発した。現在、さらに広く用いられるモデルの作成のため、アフィニティーの高いHaloタグを用いた実験系を構築しており、マウス、線虫、イモリ等の複数のモデル生物による検証を行う予定である。
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