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2016 年度 実績報告書

Pkm1による好気代謝の亢進が、がんを促進する分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 16K14621
研究機関地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所)

研究代表者

田沼 延公  地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 主任研究員 (40333645)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2017-03-31
キーワードがん細胞の特性
研究実績の概要

Pkm1による好気代謝の亢進が、がんを促進する分子機構の解明にとりくんだ。
安定同位体グルコーストレーサーを用いた解析から、Pkm1が、ミトコンドリアにおけるグルコース好気代謝を促進することが明白になった。のみならず、Pkm1によって、グルコース->乳酸のフラックスも上昇することが分かった。すなわち、Pkm1は、グルコース代謝全般を活性化することが判明した。このとき、重要なことに、グルコースからペントースリン酸経路へのフラックスは減弱していなかった。その他メタボローム解析などから、Pkm1によるグルコース代謝活性化は、細胞内ATPレベルの上昇、さらに、グルタチオン合成やNADサルベージ経路の亢進につながることが示唆された。安定同位体ニコチンアミドトレーサーを用いた解析系を開発し、この方法を用いて、Pkm1が、実際にNADサルベージのフラックスを上昇させることを実証できた。試験管内での酵素学的な解析から、ATPレベルとNADサルベージ経路の活性相関を得た。
上記の代謝形質に加え、形質転換肺上皮細胞やマウス胎児繊維芽細胞の解析から、Pkm1発現細胞では、ミトコンドリアの品質が高く保たれており、活性酸素の産生が抑制されていることが分かった。さらに、Pkm1発現細胞では、必須アミノ酸を中心に、細胞内の遊離アミノ酸レベルが高く保たれている傾向がみとめらた。これらの結果からPkm1によってオートファジーが促進されていると予測されたため、ゲノム編集によってATG7をノックアウトし、検証をすすめた。ノックアウト細胞の移植実験で、Pkm1発現細胞の腫瘍促進に、ATG7が非常に重要であることを示唆する結果が得られた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] The enhanced expression of PKM2 is involved in the gastric cancer development via regulating cancer specific metabolism2017

    • 著者名/発表者名
      Shiroki T. et al.
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] The protein phosphatase 6 catalytic subunit (Ppp6c) is indispensable for proper post-implantation embryogenesis2016

    • 著者名/発表者名
      Ogoh H
    • 雑誌名

      Mech Dev

      巻: 139 ページ: 1-9

    • DOI

      10.1016/j.mod.2016.02.001

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 小細胞肺がんの代謝特性と、その標的化戦略2016

    • 著者名/発表者名
      野村美有樹ほか
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2016-11-30 – 2016-12-02
  • [学会発表] 起源細胞でのPKMスイッチが、腫瘍細胞のブドウ糖代謝様式を規定する2016

    • 著者名/発表者名
      盛田麻美ほか
    • 学会等名
      第10回オートファジー研究会
    • 発表場所
      越後湯沢
    • 年月日
      2016-11-13 – 2016-11-15
  • [学会発表] PKMノックアウトマウスは胎生致死となる2016

    • 著者名/発表者名
      田中遼太ほか
    • 学会等名
      第75回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2016-10-06 – 2016-10-08
  • [学会発表] 小細胞肺がんにおけるPkm1の役割2016

    • 著者名/発表者名
      盛田麻美ほか
    • 学会等名
      第75回日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2016-10-06 – 2016-10-08
  • [学会発表] 小細胞肺がんにおけるPyruvate kinase Mの発現と機能解析2016

    • 著者名/発表者名
      盛田麻美ほか
    • 学会等名
      第89回日本生化学会大会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2016-09-25 – 2016-09-27

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公開日: 2018-01-16  

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