研究課題
スキルス胃癌は間質増生、びまん性浸潤、腹膜播種性転移を特徴とする予後不良の難治癌である。特に腹腔内に種を播く様に転移する腹膜播種は患者の予後とQOLを悪化させる最も大きな要因である。しかし有効な治療法は無く、その形成過程や分子機構はほとんど明らかになっていない。本研究では、個々のスキルス胃癌細胞を異なる色で蛍光ラベルしてマウスに移植し、多色蛍光イメージングにより腹膜播種巣を解析することで腫瘍不均一性を明らかにすることを目的とした。先ずRGBマーキングという手法を用いて、スキルス胃癌細胞の多重蛍光ラベルを行なった。スキルス胃癌細胞に、赤、緑、青の蛍光タンパク質を発現するレンチウィルスを同時に感染させた。その結果、各遺伝子の導入効率や発現効率の違いによりランダムに各蛍光タンパク質が発現し、個々の細胞を異なる蛍光色でラベルすることに成功した。これらの細胞をヌードマウスの腹腔内あるいは胃壁に移植し、腸間膜、大網など形成された腹膜播種巣の凍結切片を作製して蛍光顕微鏡観察を行った。その結果、調べた全ての腹膜播種腫瘍は、単一の蛍光色ではなく複数の蛍光色を示した。従って、スキルス胃癌の腹膜播種巣はクローンではなく、複数の細胞集団からなる腫瘍不均一性を持つことが示された。この研究により得られた成果は、スキルス胃癌の腹膜播種巣の腫瘍不均一性を明らかにした点で意義が深く、腹膜播種のメカニズムの解明や今後の治療法の開発に大きく貢献すると考えられる。
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