研究課題
平成30年度(最終年度)の研究計画は、1)初年度・次年度に実施した組織検体を用いたRPPA法の最適化と、2)RPPA法で得られたTNIK阻害剤NCB-0846の培養細胞におけるシグナルプロファイルの結果からバイオマーカーの探索を行うことを目標としていた。組織検体を用いたRPPA法の最適化については、平成29年度にRIPAバッファーを用いて凍結組織検体からのタンパクの抽出し、RPPA解析が可能であることを示している。最終年度は、針生検など微量臨床検体からタンパクを抽出し、タンパク抽出液を長期間保存後に再利用するために、SDS サンプルバッファーを加え熱変性したサンプルを用いたRPPAの作製の最適化を行った。その結果、微量検体から得られたタンパク及びリン酸化タンパクを安定した状態で保存し、RPPA解析することが可能となった。更にSOP(Standard Operating procedure)を作成し、一貫した方法で組織RPPA解析を行うことができるようになった。一方TNIK阻害剤の効果予測マーカーについては、大腸がん細胞株におけるTNIK阻害剤の感受性とRPPAにより得られたシグナルプロファイル間で相関解析を行ったが、相関の高い感受性予測マーカーは見つかっていない。しかし、NCB-0846処理細胞とNCB-0970処理細胞より得られたリン酸化プロファイルの比較解析により、NCB-0846のみで、特徴的にリン酸化が増加あるいは減少するタンパク複数見出した。この中でもNCB-0846はDNA損傷の指標となる ヒストンH2Aの139番目のセリン残基のリン酸化(γH2AX)を強く誘導すること、またγH2AXが薬効のモニタリングマーカーとなる可能性を見出した。最終年度は、γH2AX fociの形成とNCB-0846により惹起されるアポトーシスの関連について詳細を検討した。
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HepatoBiliary Surg Nutr.
巻: 1 ページ: 74-76
10.21037/hbsn.2018.10.10.
https://www.ncc.go.jp/jp/ri/division/genetics/project/030/index.html#kobetsu
https://www.ncc.go.jp/jp/ri/department/clinical_proteomics/project/030/index.html