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2016 年度 実施状況報告書

転写・クロマチン制御に関与するnon-coding RNAの網羅的探索

研究課題

研究課題/領域番号 16K14638
研究機関北海道大学

研究代表者

村上 洋太  北海道大学, 理学研究院, 教授 (20260622)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードnon-coding RNA / 転写制御 / 分裂酵母 / スクリーニング
研究実績の概要

平成28年度は転写制御型ncRNAスクリーニングのためのレポーター系の構築をおこなった。すなわち、転写活性化に機能するncRNAのスクリーニングのためのtetO配列7コピーと出芽酵母cyc1のTATA配列をG418耐性遺伝子(kanMX)につないだものをゲノムに挿入した株、転写抑制に機能するncRNAのスクリーニングのためのCaMVプロモーター上流にtetO配列3コピーを挿入したプロモーターでura4およびcan1遺伝子を発現する株を作成した。さらにtetO配列に結合するTetRタンパク質(FLAGタグ付き)に既知の転写活性化ドメイン(VP16)および転写抑制ドメイン(Tup11)を融合したタンパク質の発現系を導入し、それぞれのレポーターが予想通り応答することを確認した。
次にRNA結合蛋白MS2を融合したTetR-FLAGタンパク質を発現したところこの融合タンパク質が弱いながらも転写活性化能を示すことを見つけた。これはスクリーニングにおいて障害となるため、これを回避する方法の開発が必要である。
また、より柔軟性を持たせた系としてCRISPER-dCAS9によりRNAをレポーター上流に導入する系の構築を試みた。この系ではCRISPERのガイドRNAにスクリーニングするRNAを結合させ、dCAS9でゲノムの任意の場所にそのRNAをリクルートすることを試みるものである。モデルとして出芽酵母でdCAS9をCAN1遺伝子上流、あるいはORF内に効率良くリクルートできることができた。分裂酵母において同様の系を構築し、can1遺伝子上流へのdCAS9のリクルートは確認できたが、その効率は出芽酵母の1/10程度で実用上問題があることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

この系で用いるMS2自身が転写活性化能を弱いながらももつことが明らかになり、この活性を持たない系の構築が必要となった。現在その対策を講じているまた、あらたにCRISPER-dCas9系の導入をおこなうことにしたため、そちらの実験に時間を取られている。これらの理由により、当初の予定であったスクリーニングの準備としてのRNAライブラリーの作成に着手できていない。

今後の研究の推進方策

TetR-MS2融合タンパク質が転写活性可能をもつため、MS2の代わりにMS2と同様に特定の構造をもつ標的配列をもつλNタンパク質を用いる系の構築を試みる。MS2の欠失変異体をスクリーニングし転写活性化に関わる領域を同定し、その領域を欠失した変異タンパク質を用いる方策もあるが、欠失変異がRNA 結合能を保持できるかは全く未知であり、領域の同定にも時間がかかるため、λNのシステムに注力する。
CRISPER-dCas9に関してはガイドdCas9とガイドRNAの発現量のバランスが標的サイトへの結合に影響を与えていることを示唆するデータを得ているので、両者の発現バランスの条件検討をおこない、最適条件を決定する。
上記二つの系のどちらかが使用可能なレベルに改善されれば、そくざにRNAライブラリーの作成~スクリーニングを従来の予定通りおこなう。

次年度使用額が生じた理由

平成26年度研究途上で当初スクリーニング系で用いる予定のMS2タンパク質に予期せぬ性質があり他のシステムに切り替える必要が生じた。そのためにあらたなプライマーなどの予定外の出費が生じる一方、当初予定したRNAライブラリー作成をおこなうことができず一部試薬の購入が不要になり、両者の差額として次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額は前年度行えなかったRNAライブラリー作成に必要な購入に充てる。それ以外は以前の計画通り使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 3件)

  • [雑誌論文] H3K36 methylation state and associated silencing mechanisms2017

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, S., Murakami, Y. and Takahata, S.
    • 雑誌名

      Transcription

      巻: 8 ページ: 26-31

    • DOI

      10.1080/21541264.2016.1246076

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Histone H3K36 trimethylation is essential for multiple silencing mechanisms in fission yeast.2016

    • 著者名/発表者名
      Suzuki, S., Kato, H., Suzuki, Y., Chikashige, Y., Hiraoka, Y., Kimura, H., Nagao, K., Obuse, C., Takahata, S. and Murakami, Y.
    • 雑誌名

      Nucleic Acids Research

      巻: 44 ページ: 4147-4162

    • DOI

      10.1093/nar/gkw008

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Inner nuclear membrane protein Lem2 augments heterochromatin formation in response to nutritional conditions.2016

    • 著者名/発表者名
      Tange, Y., Chikashige, Y., Takahata, S., Kawakami, K., Higashi, M., Mori, C., Kojidani, T., Hirano, Y., Asakawa, H., Murakami, Y., Haraguchi, Y. and Hiraoka, Y
    • 雑誌名

      Genes to Cells

      巻: 21 ページ: 812-832

    • DOI

      10.1111/gtc.12385

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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