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2016 年度 実施状況報告書

共生細菌のゲノムにコードされるアンチエイジング因子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 16K14643
研究機関法政大学

研究代表者

大島 研郎  法政大学, 生命科学部, 教授 (00401183)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードファイトプラズマ / 老化 / エフェクター
研究実績の概要

ファイトプラズマ(Candidatus Phytoplasma属細菌)は昆虫媒介性の植物病原細菌であり、宿主と媒介昆虫との2つの生物に細胞内寄生する。ファイトプラズマが感染した植物は花が葉に変化する葉化や、種子形成が異常になる不稔症状などの特徴的な病徴を呈する。これは宿主植物が生殖ステージに移行するのを抑制し、宿主を延命させるためのファイトプラズマによる宿主操作ではないかと考えられている。また、ファイトプラズマが感染した媒介昆虫は寿命が伸びたり、高齢になっても産卵数が維持される。本研究は、こうしたファイトプラズマのアンチエイジング効果に関わるメカニズムを解明することを目的とする。平成28年度は、次世代シーケンサーや保存領域を増幅するPCR解析により、宿主操作に関わる分泌タンパク質(エフェクター)をコードする遺伝子を探索した。その結果、葉化に関わるエフェクターであるPHYL1ホモログを4種16系統のファイトプラズマから単離した。Phytoplasma asteris PYR系統のホモログのみC末端側30アミノ酸を欠失しており,宿主因子であるSEP3への結合能・分解能を失っていたが、他のホモログは全長にわたって保存性が極めて高く、SEP3への結合能・分解能を示した。また、叢生症状に関わるエフェクターであるTENGUの形質転換植物の花器官を詳細に解析したところ、莢の発達が妨げられる軽度の不稔症状に加え、蕾が開花せずに莢の形成まで至らない重度の不稔症状が認められ、TENGUと不稔症状との関連性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度は、分泌タンパク質(エフェクター)や膜タンパク質がコードされるゲノム領域に着目し、宿主に影響を与える遺伝子の探索と機能解析を行うことを計画していた。葉化に関わるPHYL1のホモログを4種16系統のファイトプラズマから単離することができたとともに、TENGUと不稔症状との関連性を示唆することができ、当初の計画を達成できたことから、おおむね順調に進展しているとの評価とした。

今後の研究の推進方策

研究代表者らの研究により、葉化に関わるエフェクターPHYL1をアブラナ科のシロイヌナズナで発現させることにより花器官の葉化が誘導されることが明らかとなっている。一方、PHYL1がアブラナ科以外の植物に対して広く花器官の葉化を誘導するか否かについては不明なため、この点を検証することを計画している。また、TENGUが不稔症状を誘導するメカニズムを解析するとともに、媒介昆虫との相互作用に関わる膜タンパク質について解析する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Phytoplasma-conserved phyllogen proteins induce phyllody across the Plantae by degrading floral MADS domain proteins2017

    • 著者名/発表者名
      Kitazawa, Y., Iwabuchi, N., Himeno, M., Sasano, M., Koinuma, H., Nijo, T., Tomomitsu, T., Yoshida, T., Okano, Y., Yoshikawa, N., Maejima, K., Oshima, K. and Namba, S.
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Botany

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [学会発表] ファイトプラズマが植物形態を制御する分子メカニズム2016

    • 著者名/発表者名
      大島研郎, 前島健作, 難波成任
    • 学会等名
      第27回 植物細菌病談話会
    • 発表場所
      京都府立大学(京都府京都市)
    • 年月日
      2016-10-24 – 2016-10-25
    • 招待講演
  • [学会発表] Functional analysis of RpoD, a principle sigma factor conserved among phytoplasmas, via an in vitro transcription assay.2016

    • 著者名/発表者名
      Maejima, K., Miura, C., Koinuma, H., Iwabuchi, N., Nijo, T., Kitazawa, Y., Neriya, Y., Himeno, M., Oshima, K., Namba, S.
    • 学会等名
      21st International Congress of the International Organization for Mycoplasmology
    • 発表場所
      Brisbane, Australia
    • 年月日
      2016-07-03 – 2016-07-07
    • 国際学会
  • [学会発表] ファイトプラズマの遺伝子発現制御のしくみをさぐる2016

    • 著者名/発表者名
      前島健作, 三浦千裕, 岩渕望, 鯉沼宏章, 二條貴通, 北沢優悟, 煉谷裕太朗, 姫野未紗子, 大島研郎, 難波成任
    • 学会等名
      日本マイコプラズマ学会第43回学術集会
    • 発表場所
      長崎県医師会館(長崎県長崎市)
    • 年月日
      2016-06-24 – 2016-06-25

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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