研究課題/領域番号 |
16K14652
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
藤原 俊伸 近畿大学, 薬学部, 教授 (80362804)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | RNAアプタマー |
研究実績の概要 |
cap構造の合成方法は、真菌と高等真核生物では異なる。真菌では、RNAトリホスファターゼであるCet1(TPase)と、グアニル酸転移酵素であるCeg1(GTase)という2つの異なるタンパク質が結合することで1つの酵素として機能し、キャップ構造を合成する。一方、ヒトでは、2つの機能を持つ1つのタンパク質がキャップ構造を合成する。従って、Cet1のTPase活性阻害物質、Ceg1のGTase活性阻害物質、Cet1とCeg1の結合阻害物質の探索は、有効な抗真菌薬候補の発見につながると考えられる。そして、申請者は酵母を用いた遺伝学によりCet1とCeg1との結合を阻害するこcet1とで、成熟mRNAを合成できず、死に至ることを証明している。前年度までの研究では真菌のモデルとして出芽酵母のCet1(TPase)タンパク質を用いたSELEXを実施し、これまでにnMの解離定数をもち、かつ既存の阻害剤と比して100倍以上低い濃度でIC50を示すRNA分子を取得した。本年度ではCeg1(GTase)を用いたSELEX方を実施した。具体的にはCeg1分子中のCet結合領域を大腸菌を用いた過剰生産精製系を用いて調製し、高い親和性を有するRNA分子の取得を試みた。しかしながら、得られたRNA分子は多様性に富み、Cet1に対して実施したSELEX法と比べて著しく異なる結果となった。一方、研究協力者との共同研究により、構築した生化学実験系を応用することにより、出芽酵母のCet1のTPase活性を阻害する低分子の取得に成功している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までに出芽酵母Cet1に対して高い親和性を有し、かつCet1のTPase活性を特異的に阻害する分子の取得に成功している。そして、本年度ではCeg1分子中のCet1結合最小領域を決定し、そして組換えタンパク質として調製することに成功した。特異的に結合する分子種は得られていないものの、すでにSELEX法を改変して実施しており、想定よりもかなり順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、ヒトのカンジダ症の原因であるC. albicans (カンジダ・アルビカンス)のcet1およびceg1を用いたSELEX法の準備を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度までに得られたRNA分子の条件検討の実験が多く、新たに作出するRNA分子の数が少なかったため新たにキット類を購入する必要が無かったため。
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