ニッキングエンドヌクレアーゼで消化することにより2本鎖DNAのフォワード鎖とリバース鎖のそれぞれの鎖に対し上下互い違いに切断を導入する。このDNAを加熱変性して1本鎖にした後、独自の1本鎖DNA同士のライゲーション技術であるTACS-Ligation法でアダプターを付加するとフォワード鎖とリバース鎖のそれぞれで読み出し開始位置の異なるライブラリーが調製可能となる。本開発ではこのようなユニークな特性をもつライブラリー調製法の開発を進めた。昨年度は活性の高いRNAリガーゼの調製に困難が生じたため開発が停滞してしまったが、この問題が解決されたことにより開発を進めることが可能となった。これまでに、ニッキングエンドヌクレアーゼで処理されたDNAに対してアダプターを付加するプロトコールの確立を終え、イルミナ社のシークエンサーで読み出し可能なライブラリーを調製することが確認できている。 本研究で開発したプロトコールはロングリードタイプのシークエンサーでゲノム配列を決定する場合により有効性が高まると考えられる。そこで、本研究計画立案時からロングリードタイプのシークエンサーの利用を想定し、パシフィックバイオサイエンス社のシークエンサーの利用を考えていた。しかし、より安価なオクスフォードナノポア社のシークエンサーが利用可能になったことからこの方針を変更して後者のシークエンサーの導入を行った。今後、上記ライブラリー調製法をオクスフォードナノポア社のシークエンサー用にアレンジし、本ライブラリー調製法の有効性の確認を進める予定である。
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