研究課題/領域番号 |
16K14666
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石津 大嗣 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (40574588)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Yb body / RNA顆粒体 / piRNA / 定量プロテオーム解析 |
研究実績の概要 |
piRNAは、相補的な配列を持つレトロトランスポゾンの発現を負に制御する生殖細胞特異的な機能性小分子RNAである。ショウジョウバエ生殖細胞において、piRNAはYb bodyと呼ばれる細胞質顆粒構造体で生成されることが示唆されている。Yb bodyは複数種のタンパク質とpiRNA前駆体となるRNAにより構成されるRNA顆粒体であるが、その構成因子や形成機構に関しては不明な点が多い。本研究では、プロテオーム解析による細胞内RNA顆粒体の網羅的かつ定量的な解析プラットフォームを構築し、Yb body構成因子を同定することでYb bodyにおけるpiRNA生合成機構を明らかにする。本年は、YbにAPEXを付加したタンパク質をショウジョウバエ卵巣由来培養細胞株OSCにおいて強制発現し、Yb bodyに局在するタンパク質のビオチン標識が可能かどうかを検証した。APEXは過酸化水素水存在下でフェノール誘導体のラジカル化を触媒する酵素である。Yb-APEXを発現したOSCの培地にAPEXの基質となるビオチンフェノールを添加し、過酸化水素で30秒間処理することでYbタンパク質に隣接するタンパク質にビオチン標識を入れた。標識されたタンパク質を染色したところ、Yb bodyとの今日局在が確認でき、Yb body構成タンパク質への特異的な標識ができたことを確認した。また、ストレプトアビジンビーズを用いたプルダウンにより、ビオチン標識タンパク質の精製が可能であることがわかった。定量プロテオームの手法としてSILAC法及びiTRAQ法を検討したが、SILAC法で使用する安定同位体標識アミノ酸へ置換した培地でのOSC培養が困難であることがわかったので、iTRAQ法による解析を行うことに決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
APEXを用いたYb body局在化タンパク質の網羅的なビオチン標識法を確立できた。当初予定していたSILAC法による定量プロテオーム解析では、培地に安定同位体標識アミノ酸を添加する必要があったが、特定のアミノ酸を完全に置換した培地でのOSC培養が困難であることがわかった。現在は、iTRAQ法によるサンプル間比較解析を行う方向で準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、iTRAQ法によるYb body構成タンパク質の網羅的な同定を行う。得られた結果から、Yb bodyに局在化するタンパク質の候補を選び、発現ベクターを作製してOSCで遺伝子導入し、免疫染色法によりYb bodyへの局在化を検証する。また、その他のRNA顆粒体精製法として、b-isox沈殿によるRNA顆粒局在タンパク質とRNAの同定を試みる。沈殿したタンパク質に既知のYb body局在タンパク質が含まれるかどうかをウェスタンブロット法により確認する。次にYbノックダウン細胞と未処理細胞でb-isox沈殿を行い、iTRAQ法による質量分析を行う。Ybノックダウン条件下では,Yb bodyの形成が阻害されるので、未処理細胞でのみ検出されたタンパク質をYb body構成因子と判断できると考えている。
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