研究課題/領域番号 |
16K14668
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
北川 雅敏 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50294971)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 相同組換え / X染色体不活性化 |
研究実績の概要 |
現在の生命科学発展の基盤となったマウスES細胞を用いたジーンターゲッティング技術において、ターゲッティングベクターと宿主遺伝子の組換えは、細胞の持つ相同組換え(HR: homologous recombination)能を利用している。ジーンターゲッティングにおいて、我々が一般に使うES細胞はオスである。その理由の一つとして、XXの片側のXは脱落してXOになりやすく、germ line に入る確率が低下することが挙げられる。ES細胞は相同組換えの効率が高いと信じられていたが、我々はメスES細胞はオスES細胞に比べて相同組換えの効率が極端に低いことを見いだした。その原因は全く不明であるが、我々は性染色体に相同組換えを制御する機能があると考えている。本研究ではその原因を解明する事を目指す。まずX染色体の活性制御に関わる長鎖ncRNA Xistを人為的に制御することで性染色体の活性状態を規定し、相同組換えとの関係を検証する。さらにこの性染色体性の相同組換え関連遺伝子(因子)の同定を目指し、この命題の全容の解明を図る。一方で、これは片側X染色体不活性化が起こる前であるES細胞特有の現象か、片側X染色体不活性化が完了した組織幹細胞等でも同様かについても検証する。本研究は性染色体の未知の機能を明らかにするだけでなく、DNA修復研究、乳がん研究(女性関連腫瘍)や再生医学等に重要な知見の提供が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DNAの二重鎖切断はブレオマイシンを用い、相同組換え関連因子のリクルート法は確立できている。6番染色体ROSA26領域に相同組換えにて遺伝子を挿入することで、相同組換え効率を測定する方法は確立済みである。XXの片方のXにTet誘導性プロモーターをXist転写制御領域にノックイン (KI)したTet-Xistマウス(TX)を導入済みである。このマウスからES細胞を樹立し(XTXX)相同組換えのアッセイをする予定であるが、未だXTXX ES細胞は樹立できていない。
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今後の研究の推進方策 |
(1)XTXX ES細胞の樹立に注力する。 (2)樹立したXTXX ES細胞を用いて、ドキシサイクリン処理有無でしてXaXaおよびXiXaの状態にし、ROSA26領域への相同組換えアッセイをする。(予想ではXiXaが高い) (3)(2)においてブレオマイシン処理し、DNAの二重鎖切断を誘導させたとき相同組換えのどのステップにXaXaで障害があるか判定する。 (4)(3)の系を用いて原因遺伝子(因子)の探索を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
XXの片方のXにTet誘導性プロモーターをXist転写制御領域にノックイン (KI)したTet-Xistマウス(TX)を導入済みである。このマウスからES細胞を樹立し(XTXX)相同組換えのアッセイをする予定であるが、未だXTXX ES細胞は樹立できていない。そのため以降の計画である相同組換えアッセイ以降の解析に進めていない。
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次年度使用額の使用計画 |
(1)XTXX ES細胞の樹立に注力する。(2)樹立したXTXX ES細胞を用いて、ドキシサイクリン処理有無でしてXaXaおよびXiXaの状態にし、ROSA26領域への相同組換えアッセイをする。(予想ではXiXaが高い)(3)(2)においてブレオマイシン処理し、DNAの二重鎖切断を誘導させたとき相同組換えのどのステップにXaXaで障害があるか判定する。(4)(3)の系を用いて原因遺伝子(因子)の探索を行う。
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