研究課題
分裂酵母実験株にはLTR型レトロトランスポゾンとしてTf2のみが唯一存在し、ゲノム中に散在している。Tf2の転移活性は既に喪失されており、Tf2やソロLTRのゲノム上での位置どりは安定しているため、ゲノム変化の解析に好都合となっている。本研究では、染色体進化促進プログラムとしてトランスポゾン介在ゲノム変化の機構を解明し、染色体編成の多様化が生まれる仕組みを解明することを目的とした。今年度の本研究ではまず、Tf2に由来する小分子RNAの解析を行った。これまでの研究から、Tf2の順方向転写産物に由来する40ヌクレオチド強小分子RNAが動原体破壊に伴う染色体再編成の促進過程の一環として出現することが見出されていた。今年度はその出現に対するRNAi変異やexosome変異の影響を検証し、小分子RNA出現はexosome経路には依存せず、RNAi経路には依存していること結果を得た。しかし、その知見を更に発展させて小分子RNAの生合成メカニズムを探る目的で小分子RNAの次世代シークエンス解析を行ったところ、そのような分子と影響を見出すことができなかった。今後のより詳細なる解析が必要と考えられる。一方、分裂酵母において減数分裂期の相同染色体ペアリングの効率化に作用するノンコーディングRNAがTf2転写産物と同様に動原体破壊後の染色体再編成に作用する可能性を追求するため、ノンコーディングRNAをコードするsme2座位を異所的に挿入した細胞で動原体破壊を行ったところ、相同組み換えを介した染色体再編成サバイバーの出現頻度の上昇が見られた。動原体破壊に伴う染色体再編成はRNA分子を介在している可能性が強く示唆された。
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PLoS Genetics
巻: 13 ページ: e1006606
http://dx.doi.org/10.1371/journal.pgen.1006606
http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/ishii/index.html