核磁気共鳴による蛋白質の解析では、信号ピークがどの原子に由来するかを決める帰属が必要である。しかし、帰属は高い pH 条件や高分子量になるほど困難になる。それを克服すべく、筆者はこれまで連鎖帰属の中心であったスピンをアミド基 1H/15N から 1H/13C に移す方法を試みた。その結果、最先端技術をもつ NMR 装置であっても、依然として感度が低く、高分子量では 1mM ほどの濃度が必要であることが分かった。しかし、13C 測定は金属蛋白質など常磁性中心をもつ試料や、構造をもたない天然変性蛋白質では威力を発揮し、今後パルスプログラムやハードウェアの開発により、さらなる進展が期待される。
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