脂質メソ相は膜タンパク質の結晶化に有用であるが、利用できるマトリクス脂質はモノアシルグリセロール(MAG)に限られてきた。そんな中、我々は安定な脂質メソ相を形成するイソプレノイド鎖型脂質(IPCL)を見出した。IPCLは特徴的な飽和分岐アルキルを持ち、MAGと比べより低温でも脂質メソ相が安定である。IPCLの有用性を示すため、GPCRの一つアデノシンA2A受容体の結晶化を行ったところ良質な結晶が得られ、クライオ温度、4°C、20°Cの三つの異なる測定温度で構造解析に成功した。これにより、IPCLはヒト由来膜タンパク質の結晶化に有用であり、幅広い温度範囲で結晶構造解析を実現できる事が判明した。
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