研究課題
アルツハイマー病(AD)の発症危険因子として、アポリポプロテインE4(ApoE4)が知られているが、ApoE4が寄与するAD発症機構は明らかではない。近年の研究から、ApoE4による遺伝子発現制御の存在が明らかとなり、AD患者においてその制御変化が認められ、その制御因子としてAPP結合因子として我々が同定したX11Lが見出された。本研究では、マウス脳においてApoE4及びX11Lが制御する遺伝子を明らかにすると共に、その制御機構のAD発症への寄与を解明することを目的とした。昨年度までに、遺伝子改変マウスを用いた網羅的遺伝子発現解析を終了し、AD発症に寄与すると考えられる遺伝子の同定を行った。本年度は、まず、その発現変化遺伝子群の発現制御に関わる共通性を見出す検討作業を行った。各遺伝子の転写開始点から100塩基下流及び1,000塩基上流の遺伝子配列に共通して見出されるモチーフを検討したところ、核内受容体として知られるFarnesoid X receptor(FXR)結合モチーフが有意に存在していることが分かった。FXRは肝臓に特異的に発現することが知られる因子であるが、マウス脳を用いたmRNA-seqの結果及び公知遺伝子発現解析データベースの結果から、脳においても発現していることが見出された。そこで、FXRのクローニングを行い、マウスES細胞由来神経細胞に発現させる系を構築した。その局在を検証したところ、通常の培養環境下において主に核内に局在するが、細胞質に局在を示す細胞も存在した。このことは、FXRの局在を制御する分子機構が同細胞に存在することを示唆した。また、ApoE及びX11Lを発現する系を構築していたところ、X11LがApoEの発現を制御しうる現象を見出した。現在、同系を用いて新たなAD発症分子機構の解明に取り組んだ。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 7件) 備考 (1件)
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