研究課題
緊縮応答は、栄養飢餓応答のシステムとして大腸菌を用いた研究により約50年前に発見された。その後の研究により、この応答は、栄養飢餓だけでなく、病原性/抗生物質耐性/バイオフィルム形成/光合成など多彩な機能を調節する細菌に普遍的なシステムであることがわかり、現在も活発に研究が行われている。一方で、動物型緊縮応答の存在は多くの研究者が研究を進めているものの、未だにその存在が明らかとなっていない。特に、ppGpp分解酵素の存在は明らかになっているものの、その合成を司る遺伝子は未だ明らかとなっていない。申請者らは、LC-ESI-MS/MSを用いたppGpp高感度定量系を駆使し、動物細胞からのppGppの検出を試みるとともに、後生動物を用いて緊縮応答の存在を実証することを目的に研究を進めている。昨年度(2017年度)は特に、緊縮応答の中核を担うセカンドメッセンジャー、グアノシン4リン酸(ppGpp)をショウジョウバエ中で強制的に発現させ、緊縮応答が動物個体の生育に及ぼす影響を精査した。これまでに、枯草菌由来のppGpp合成酵素YjbMをGal4プロモータ下流に配置したプラスミドコンストラクトを作成し、それをショウジョウバエの特定のランディングサイトに組み入れた組換え体の作成に成功した。この個体を、恒常的にGal4を発現する個体と掛け合わせたところ、得られた子孫は胚性致死となった。このことからppGppの高蓄積は、ショウジョウバエに重篤な生育不全を引き起こすことが明らかとなった。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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