研究により、小胞型神経伝達物質トランスポーターが脂質により制御を受けることを明らかにした。 脂質による制御に関しては、SECプロファイル等から、VGLUTは精製後オリゴマーを形成しており、何も処理をしない場合は、数日かけて徐々に脂質が解離し、モノマー型に変化すること、そこに脂質を添加すると、再度オリゴマー化するという、VGLUTのモノマー、オリゴマーのフォームを自由に作成することに成功した。さらにその様子は高速原子間力顕微鏡(HS-AFM)を用いることで観察することもできた。ただ、こちらについては、オリゴマー時のタンパクの移動が早く、かつ、VGLUTには長いN末、C末領域があり、これらが、VGLUTのオリゴマー化に影響している可能性がある。また、オリゴマー、モノマー型の、Particle sizeと高さを測定した70個を解析してみると、正規の分布を示し、モノマー型がsize:11.8 nm、高さ:4.6 nm、オリゴマー型が、size:28.8 nm、高さ:7.8 nmであった。また、シナプス小胞を用いた解析でも、オリゴマー型のタンパク質をウエスタンブロットで解析でき、生体内でもオリゴマーを組んでいることが明らかとなった。 VGLUTは神経において、シナプス小胞上に存在して、グルタミン酸を輸送することが知られているが、神経化学伝達過程においてエキソサイトーシス、エンドサイトーシスをする上で様々な脂質組成の膜上を移動する。異なる脂質膜の移動に伴い、オリゴマーの構造や、輸送が変化するのではないか?と考え、それぞれの脂質を用いて、VGLUTと再構成した上で、マイカ基板上に展開し、その様子をHS-AFMを用いて観察した。
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