血清中のシアリル遊離糖鎖について、ラットの肝臓から分泌されている可能性を検討するために、ラットの初代肝細胞の培地に分泌される糖鎖の解析を試みた。無血清培地での培養条件について検討を行い、遊離糖鎖の分泌が観測されたが、糖鎖の蛍光検出の際に糖鎖以外の蛍光成分が観察されており、定量的な解析はまだ出来ていない。今後更なる方法の改善の検討が必要である。今後同一個体の血清中のシアリル遊離糖鎖との構造比較を行い、シアリル遊離糖鎖生成のメカニズムについてさらに検討を進める予定である。 また、C57BL/6マウスの血清シアリル遊離糖鎖の詳細な構造を解析中である。詳細構造を決定次第、これらの構造を肝臓のアシアロ糖タンパク質受容体のKOマウスの血清シアリル遊離糖鎖との構造の比較を行う予定である(UC Santa Barbara Jamey Marth教授との共同研究)。 また、血清シアリル遊離糖鎖がどのくらい生物に保存されているかを調べるために魚類(サケ)の血清についても調べてみたところ、構造は異なるもののシアリル糖鎖の存在を確認できたことから、哺乳動物、鳥類以外にも血清シアリル糖鎖が存在することが明らかになった。
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