V-ATPaseはATP加水分解のエネルギーを用いてイオン(プロトンやナトリウム)を輸送する分子機械である。このV-ATPaseは膜小胞の酸性化や破骨細胞による骨吸収や癌細胞の転移にも関わることから創薬のターゲットとしても注目されている。そのためこの分子の回転イオン輸送を理解することは医学的にも重要であり、今回の研究がきっかけで明らかになったこのV-ATPaseの全体構造はこの分子をターゲットとした創薬につながると期待される。さらに今回明らかになったナトリウムイオンの結合を反映した回転挙動の検出は、回転によってイオン輸送を行う分子機械の理解につながり学術的にも重要な結果だと言える。
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